競走馬の馬名にルールがあることをご存じでしょうか?JRA(日本中央競馬会)は
- カタカナ2文字以上9文字以内
- 過去に偉業を残した馬名以外
- 著名人の名前、商用目的でないこと
- まぎらわしい名前でないこと
- 放送倫理に触れないこと
と定められております。
なぜ名前にここまで厳しいルールがあるのでしょう?そこには「パリ協定」の存在があります。今や競走馬は国内だけでなく海外にも進出する時代です。
海外レースに参加するには「パリ協定」に準じたルールで統一する必要があります。わかりやすく説明すると「カタカナ9文字」「同じ馬名での登録は不可」「海外も含めた偉業を成し遂げた馬名は不可」です。
この記事では、競走馬の名前のルールとはなにか?使用できない事例、現在の珍名馬を解説していきます。
目次
競走馬の名前にはルールがある

カタカナ2文字以上9文字以内
本来なら10文字での登録予定だった馬名を無理やり9文字に短縮した結果、単語の一部の文字を省略した馬名が誕生しております。
例、メイショウビ(ク)トリア、マチカネタンホイザ(ー)など
アルファベット18文字(空白を含む)以内
アルファベットは18文字以内なら許可が下りますが、THU(ツ)だと3文字使うので注意が必要です。またABC(エービーシー)などアルファベットや数字を並べてカタカナ読みしたのはダメです。
例外として「イチニイサンシロウ」と名前の一部として申請し、許可が下りたケースがあります。
カタカナのみ(現代仮名遣いに限る)
1928年以降のカタカナに統一されており、ヰ(ウィ)といった歴史的仮名遣いは使用禁止です。しかし1997年以降に、ヲ(お)やのばす音「ー」が申請に通っております。
例、ビックリシタナモー、エガオヲミセテ
馬名として使用できない事例

重要なレースで勝利している馬名
競走馬の世界は血統を重視する世界です。競走馬は現役を引退しても繁殖馬としての役割が残っております。競走馬の繁殖には大金が動いており、実績を残した競走馬だと億単位の金額が動きます。
競走馬の世界はビジネスです。自身が所有する競走馬の価値をあげるために、馬名には厳しい制限が定められております。
オグリキャップの馬名は、例え子孫でも使用不可です。
ブランド名・著名人・曲名・映画名
著作権の問題です。過去に「トヨタクラウン」や「ヒヤキオーガン」といった馬名もありましたが、1964年からブランド名(宣伝)に該当するとして原則却下となっております。
「ヒヤキオーガン」は過去に同名で2度申請がありました。
まぎらわしい名前
主にG1など貢献度が大きい馬名が該当します。G1など最高峰のレースに勝利した馬名は永久に使用することができません。理由は同じ馬名の競走馬がレースに勝利したらややこしくなるためです。
「チョウカイテイオー」は「トウカイテイオー」と発音が似ている理由で却下されます。
今は無き馬名

漢字
現在では漢字の馬名は存在しませんが、1927年以前には存在しました。
例、年藤(クリフジ)、丘高(クモカワ)
9文字以上
現在でも10文字を超える馬名が存在します。日本では9文字以上の申請は却下されるので、9文字以上なら外国馬です。
例、「フリートストリートダンサー(13文字)」「テイクオーバーターゲット(12文字)」
ディープインパクトの母は「ウインドインハーヘア(10文字)」なので外国馬です。
1文字
「ヤ」という競走馬です。名前の由来は「矢」から来ております。
1文字の馬名は「ヤ」以外の確認はないので、最初で最後の1文字の競走馬です。
現在では最低2文字以上なので、1文字の馬名は2度と誕生することがないと言えます。
競走馬の「ベガ」は唯一、2文字のG1勝利馬です。
現在の珍名

パリ協定によりカタカナ、文字数は決まっております。それゆえに誕生した珍名があることをご存じでしょうか?ここでは3点ほど紹介します。
- ネコパンチ(5文字)
- アイアムカミノマゴ(9文字)
- テイエムプリキュア(9文字)
いずれも重賞での勝利という実績のある競走馬です。重賞で勝利することができるのは競走馬の中でも一握り。今後は重賞勝利馬の珍名馬が増えてくるかもしれませんね?
まとめ
今や競走馬の世界は国際化です。日本の競走馬が海外へ出向きレースに参戦するのは当たり前の時代となっております。しかし馬名は一度決めたら変更不可なので、馬名ひとつをみても馬主の個性がみられます。
競走馬には珍名馬もおります。ネコパンチやアイアムカミノマゴは、重賞での勝利という実績があります。この珍名馬が海外のレース場を走る機会があれば、馬名のスペルが「パリ条約」に収まっているかを見るのも面白いかもしれませんね。
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