みなさん、お酒は好きですか?普段どんなお酒を飲まれるのでしょう?日本酒、焼酎、カクテル、チューハイ、サワー、ブランデー、ウィスキー・・・?今回は数あるアルコールの種類の中でもブドウを使った果実酒、ワインについての雑学です。
ワインというと赤ワインと白ワインがありますが、どうして同じブドウを使って作られるのに赤く染まったり透明であったりするのでしょう?今回は赤ワインや白ワインに使われるブドウの違い、作られ方の違いから始まり、それぞれのワインの特徴や合う食べ物についてご紹介します。
目次
赤ワインと白ワインで使われるブドウの違い

ワインと言ったら「ブドウ」ですよね。まずは主に赤ワインで使われるブドウ、主に白ワインで使われるブドウをご紹介します。
主に赤ワインに使われるブドウ
「赤ワイン」というのだから赤紫っぽい色のブドウで作られるのかと思った方もいらっしゃるでしょう。実は赤ワインは「黒ブドウ」で作られます。「ならば黒ブドウってどんなブドウって?」思いますよね。黒ブドウとは皮の色が青紫から黒色をしているブドウです。意外と身近なブドウにも黒ブドウがありす。例えばスーパーでよく見かける「デラウェア」や「巨峰」などがこの黒ブドウの仲間です。
主に白ワインに使われるブドウ
赤ワインでは「赤ブドウ」ではなく「黒ブドウ」を使って作られますが「ならば白ワインは?」となりますよね。白ワインは主に「白ブドウ」を使って作られます。白ブドウってどんなブドウなのかというと、これまた身近な例ではマスカットがこの仲間にあたります。皮が薄緑色をしたブドウを「白ブドウ」といいます。
ワイン用のブドウと食用のブドウの違い
赤ワイン用に作られる「黒ブドウ」も白ワイン用に作られる「白ブドウ」も普通に食べることもできます。(「桜の雑学」でご紹介したソメイヨシノのサクランボと違って)味もおいしいです。でも食用として市場に流通しないのには理由があります。皮と実がはがれにくかったり、種が大きかったり多かったり、実が小さかったりすることが多く、食用にはあまり向かない、こういった品種がワインに使われます。
赤ワインと白ワインの製造方法の違い

使われるブドウが分かったところで今度は作り方です。赤ワインと白ワインでは発酵と圧搾(搾り出し)の順番が違います。
赤ワインの製造方法-発酵のあとに搾る
①除梗(じょこう)
はじめに行われるのが除梗です。「梗」という字には「芯が堅い枝」という意味があります。つまり枝や茎、軸など(「果梗」というところ)を取り除いて実だけにします。
この作業は意外と地味で、当たり前のようなことなのですが重要です。同じブドウを使っても除梗を行わないと渋くなったり苦くなったりします。この除梗を行わないワインを「全房発酵(ぜんぼうはっこう)ワイン」といいます。
でもそんな全房発酵の特徴を利用することもあります。除梗したブドウで発酵させたワインに、(除梗しない)全房発酵させたワインを混ぜることがあります。酸味が強いブドウの場合、全房発酵のワインと混ぜることでワインの風味や深みを増し、シルキー(舌触りの滑らかさ)になり、またハーブのような清涼感が増します。「100%全房発酵」にした方がおいしいワインになるブドウもあります。
②発酵
ワインを発酵させるための樽に入れられます。日本酒などは麹菌を加えて発酵させますが、ワインは(以前は)ブドウの皮にもともと自然についている出芽酵母でアルコール発酵させていました。現在は(日本酒と同様に)厳選された酵母菌を培養して加えられます。
また温度管理が必要で、40℃以下で発酵させます。40℃を超えると菌が死んでしまうからです。フルーティーなワインを作るには25~28℃くらい、渋みを持ったワインに仕上げたい場合は28~35℃で長期熟成させます。
③圧搾
赤ワインは発酵の後、圧搾してブドウからワインを搾り出します。昔は足で踏んで搾り出していましたが、現在は圧搾機を用います。
③熟成
瓶に詰める前にしばらくの間熟成させます。(日本でも毎年話題になる)ボジョレー・ヌーヴォーの場合は数日、ボルドーの場合は1年半もの間熟成させます。
ちょっとブレイク ~ 赤ワインがおいしくなる魔法「デキャンタージュ」って??
赤ワインで「買って飲んでみたけど、それほどおいしくなかった」なんていう経験をなさった方もいるかもしれません。そういったときは一度デキャンタージュしてみると変わるかもしれません。
デキャンタージュとはデキャンタという瓶にワインを移すことです。「それで何が変わるの?」と思われる方もいらっしゃると思います。移すことでワインが酸化されます。酸化されると閉じていたワインの香りが放たれ、味わいもまろやかになります。また、瓶の下に沈んだ渋み成分を取り除くことができます。
「この赤ワインおいしくない!」と感じたらぜひ、一度試してみてください。
白ワインの製造方法-圧搾の後に発酵させます
今度は白ワインの作り方を赤ワインと比較しながらご紹介します。
① 収穫-除梗の必要はなし
白ワインの場合、除梗は必要ありません。それよりもっと大切なのはブドウの収穫時期です。ブドウの糖度によりワインが甘口になるか辛口になるか決まります。同じアルコール度数に仕上げようとするのであっても、糖度が高い時期に収穫したブドウを使えば甘口になりますし、その逆で糖度が低い時期に収穫すると辛口になります。
②圧搾
赤ワインでは発酵してから圧搾しましたが、白ワインの場合は圧搾を発酵の前にして、果汁だけを取り出します。
③発酵
次に発酵させます。香り成分を維持させるために温度を低く保つ必要があります。赤ワインでは25~35℃で発酵させていましたが、白ワインでは大きい樽で作る場合は特に温度管理が必要で18℃を超えないようにします。
④熟成
白ワインは酸化を抑える効果があるタンニンが少ないので、熟成に向かないワインが多いです。それでもいい辛口の白ワインで、酸味が強い物の中には50年熟成させることもできます。
ちょっとブレイク~黒ブドウでも白ワインを作ることができる
白ワインは白ブドウを使うとお伝えしましたが、実は黒ブドウで白ワインを作ることもあります。というのも赤ワインと白ワインの作り方が違うからです。赤ワインはブドウを発酵させてから圧搾しましたよね。それに対して白ワインは発酵させる前に果汁を搾ります。だから皮の汁が出ないように圧搾します。その後発酵させれば白ワインになります。
このように黒ブドウで白ワイン作ると、ほかの白ワインと比べて香りが強くなります。
赤ワイン、白ワインの特徴と合う料理

それではここからは赤ワイン、白ワインの特徴やそれぞれに合う料理についてご紹介します。
赤ワインの特徴
まずは赤ワインの特徴をご紹介します。ブドウの皮のから出た赤紫色が特徴ですよね。この赤紫色はタンニンやアントシアニンといったポリフェノールです。タンニンは、味に深みを出し、逆に渋みにもなります。また、アントシアニンには抗酸化作用があります。
赤ワインは酸味や果実の味が楽しめます。また赤ワインは「重いワイン」「軽いワイン」という表現が使われます。
赤ワインに合う料理
それでは赤ワインにはどんな料理が合うのでしょう?
一般的には肉料理が合うとされていますが、温度が高い料理や、香辛料が利いた料理、味が濃い料理、濃厚なチーズが入ったサラダなどが合います。
白ワインの特徴
赤ワインの「重い」、「軽い」という表現をするのに対して白ワインは「辛口のワイン」、「甘口のワイン」と言った表現を使います。
甘口の白ワインはブドウの糖分が残っているのでそのまま飲んでフルーティーな味を楽しめます。甘口はさらに「極甘口」と「甘口」にも分けられます。
辛口の白ワインは、ブドウの果汁に含まれる糖分を(ほとんど)すべてアルコールに変えてしまっており、甘さはほとんどありません。だから甘みが邪魔をしないので、いろんな料理との相性がいいのです。
白ワインに合う料理
一般的には魚料理に合うといわれています。(赤ワインは温度が高く、味の濃い料理が合うとお伝えしましたが)白ワインは温度は低めの料理やあっさりした料理に合います。
具体的には野菜料理、魚の塩焼き、天ぷらを塩で食べる時、ウナギの白焼き、ササミ料理、などと合います。また、ピザやグラタンなどにも合います。
甘口の白ワインの場合はデザートと共に頂いたり、(上でも紹介しましたが)そのままフルーティーさを味わったりします。
最後に・・・
日本でワインが本格的に作られ始めたのは明治時代と言われています。そんな日本のワインの歴史の中で現在も売られているワイン「赤玉ポートワイン」をご存知でしょうか?実は私の祖父も愛飲していたのを覚えていますがなっ、なんと1907年(明治40年)から販売されています。
甘みが強く、かつワインの中ではアルコール度数も少し高いこのワイン。(ボジョレー・ヌーヴォーなど)話題の海外のワインを飲んでみたいのはわかりますが、日本人なら一度は飲んでいただきたいワインの1つです。