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シメジとブナシメジの違い~「香マツタケ味シメジ」のシメジはブナシメジではない??

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あなたはキノコ類が好きですか?中学校の理科の授業で「キノコは菌類」だと知って驚いた方、避けたくなった方などいらっしゃるかもしれません。またキノコというと、皆さんの中には「スーパーマリオブラザーズに出てくるキノコがあったらいいなぁ」なんて思う方もいらっしゃるでしょう。

1年に1回はニュースなどで「毒キノコを間違って食べた」だったり、「直売所などで毒キノコを間違って販売した」などの話も耳にしますよね。毒キノコと食べられるキノコの判断はよく山に入っている方でも困ることもあり、「毒キノコかどうか見分ける」のではなくて「完全に食べられるキノコだけを採る」とも言います。

そんなキノコの中でも特にシメジについてのお話をします。シメジをスーパーで買いに行くと「ブナシメジ」をよく目にすると思います。「シメジ」=「ブナシメジ」と思っていらっしゃる方も中に入るかもしれませんが、実は「ブナシメジ」と「シメジ」は違うキノコを指します。今回は「ブナシメジ」と「シメジ」の違い、キノコの調理の時に気を付けること、さらには茶わん蒸しにできないキノコについてご紹介します。

シメジとブナシメジって違うの? - 品種のお話

スーパーでシメジを購入する時、普通ブナシメジを買われることが多いと思います。でも一般的には「シメジ」というと「ホンシメジ」のことを言います。ホンシメジはシメジ科シメジ属のキノコです。ではブナシメジとはというと、ホンシメジと同じシメジ科なのですがシロタモギタケ属のキノコなのです。

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ちなみに近年スーパーで白いブナシメジ「ブナピー」を見たことがある方もいらっしゃるかと思います。このブナピーはCMでおなじみのキノコの会社「ホクト株式会社」が作ったキノコで、白色のブナシメジ同士をかけ合わせて作られました。通称「ホワイトぶなしめじ」、和名「ホクト白1号菌」、英語名で「Bunapi」などと言われます。

形や大きさの違い - 天然のものと栽培されたものとでは形が違います

ブナシメジの形

ブナシメジの形や大きさ、みなさんは見たことがあると思うのでわかると思います。ほっそりとした直径5ミリ、長さ4~5センチくらいの柄(え)の上に直径1.5センチくらいの傘がついていますよね。でも天然の物の傘はスーパーで売っているようなきれいなドーム型ではありません。4~10センチでドーム型でないことが多いです。

ホンシメジの形

ホンシメジの形も栽培されている物と天然のものは違います。栽培されたホンシメジの形は、スーパーで売られているブナシメジを上から少しつぶしたような感じで、柄はブナシメジより短くかつ太く(直径1.5センチくらい)、傘もブナシメジより大きい形をしています(まるで漫画のキャラクターに出てくるようなキノコの形です)。

次に天然のホンシメジの形をご紹介します。天然のものは傘も10センチに成長したり、柄の長さも5センチにもなったりします。栽培されているような「ずんぐりむっくり」した形とは違い、柄も(根本は少し膨らむものの)直径1センチくらいのほぼ円柱型です。

近年までホンシメジは人工栽培できなかった

ブナシメジはスーパーで栽培されたものをよく見かけると思いますが、ホンシメジはあまり見かけないですよね。実はホンシメジは性質の違いから近年まで人工栽培ができませんでした

ホンシメジはコナラやアカマツなどの木に菌根という根っこを這わせ、お互いに栄養などをやり取りしあう「共生」をしています(こういったキノコを「菌根菌」と言います)。本来は生きた木の下で育つキノコなので「キノコ工場」のような人工的な栽培(菌床人工栽培)はこれまでできませんでした。

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だから希少かつ高価な物でした。

しかし1999年、タカラバイオが菌床人工栽培に成功します。2004年からは一般に販売され始め、我々一般庶民の口にも少し近づきました。

菌根菌のホンシメジに対して、ブナシメジは主に死んだ木にくっついて栄養を貰って育つ「腐朽(ふきゅう)菌」といいます。

成分の違い

ここでは一般的な食品標準成分表に載っている成分を比較します。ほとんど入っている成分は同じです。しかし、ブナシメジには入っていてホンシメジに入っていない成分が2種類あります

1つはビオチンです。ビオチンはブナシメジ100グラム当たり9.9マイクログラムと僅かですが、アミノ酸の代謝に必要な成分です。またビタミンCも100グラム当たり7ミリグラム含まれています。

「香りマツタケ、味シメジ」のシメジはどっち?

みなさんも「香りマツタケ、味シメジ」という言葉を耳にしたことがあると思います。この「味シメジ」のシメジ、みなさんは「ホンシメジ」と「ブナシメジ」のどちらだと思いますか?

先ほどご紹介した成分の話からすると、この「味シメジ」は2種類も多くの成分が入っている「ブナシメジ」かとお思いになる方もいるのではないでしょうか?実は「味シメジ」はホンシメジのことです。先ほどの食品標準成分では掲載されていない成分がホンシメジにはあります。

それはうまみ成分の1つグアニル酸です。このグアニル酸は数あるキノコの中で最も多く含まれているのがホンシメジなのです。また、そのほかにもグルタミン酸やアスパラギン酸などのうまみ成分を多く含んでいます。

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だから「香りマツタケ味シメジ」のシメジは「ホンシメジ」を表します。

ちょっとブレイク ー キノコは低カロリー、でも・・・

キノコというと「低カロリー」というイメージがありますよね。ホンシメジやブナシメジともに100グラム当たりのカロリーは20kcal未満(ホンシメジ14kcal、ブナシメジ18kcal)です。素焼きにすれば「ダイエットにもってこい!」ですが、バター焼き、おいしいですからしたくなりますよね。キノコ自体は低カロリーですが調理法にも注意をしましょう!

キノコを調理するとき洗う、洗わない?

基本的にみなさんどんな食材も水で洗ってから調理していると思います。でもキノコを調理する時は基本的には洗わない方がいいのです。水溶性のビタミンB群やカリウム、またキノコが持つ風味が流れ出てしまうからです。石づきを切り落として、気になるところはキッチンタオルを湿らせて拭きましょう

でもそんな中でも1種類だけは必ず洗っていただきたいキノコがあります。それはナメコです。滑り(ぬめり)気の中に汚れや雑菌なども含まれている可能性があるからです。洗うといってもごしごし洗いすぎるとせっかくのおいしい「滑り」がなくなってしまいます。だからボールに水を張り、ザルにナメコを入れて優しく洗いましょう。

マイタケでは茶碗蒸しが作れない?

茶碗蒸しにキノコを入れる方もいらっしゃると思います。茶碗蒸しにキノコも合いますよね。でもマイタケを入れて作ろうとしたことのある方がもしいられたら、たぶん固まらなかったのではないかと思います。実はマイタケにはタンパク質分解酵素が含まれているからです。

「タンパク質分解酵素」というとこの「雑学のあしあと」のサイトの記事「パイナップルを食べると舌がピリピリする理由。」でみきさんが「ブロメライン」という酵素をご紹介しましたが、マイタケには「プロテアーゼ」という分解酵素があります。この酵素が茶碗蒸しを固める素となる卵のたんぱく質を分解してしまうから固まりません

でもこのたんぱく質分解酵素にはいい面もあります。例えば、お肉と一緒にマイタケを調理すると、お肉のたんぱく質が一部分解されて、柔らかくしてくれます。また、プロテアーゼの一種でマイタケアミノペプチダーゼという成分は苦みを取り除き、アミノ酸を作り出します。

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マイタケの茶碗蒸しはできないけど、タンパク質分解酵素が料理のおいしさに貢献します。

キノコ、生食できる?

種類によって生食できるキノコとできないキノコがあります。

生食できないキノコには「洗うキノコ」として紹介したナメコをはじめ、マイタケやエリンギはシアン産生菌ですし、松茸やシメジなどアレルギーを起こすかことがあります。ほとんど全てのキノコは加熱が必要です。十分加熱して食べましょう

そんな中でも生食できるキノコも・・・。

ほとんどのキノコは生食すると危険ですので過熱していただきたいのですが、生食が可能なキノコもあります。それはマッシュルームです。収穫から3日以内の新鮮なもので、傘が開いてないものは生で食べられます。薄く切ってサラダに入れることもできます。和名では「西洋マツタケ」や「ツクリタケ」とも言われます。

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でも心配な方は加熱してくださいね。

あともう1種類、トリュフも生食できます。トリュフこそ「生をスライスして香りを楽しむ」といったイメージですよね。

まとめ・・・

ブナシメジと(ホン)シメジは違うキノコです。
・「香マツタケ味シメジ」のシメジはホンシメジ。うま味成分が多い
ホンシメジは以前人工栽培できなかった(ホンシメジは菌根菌)。ブナシメジは腐朽菌 。
・天然のものと栽培したものでは形が違う。

キノコ類は(なめこを除いて)洗わず、ペーパータオルを湿らせて気になるところを拭く。マッシュルームとトリュフ以外、生食はできません。よく加熱しましょう。
マイタケは茶わん蒸しに使えません

おいしく安全にキノコを食べましょう。

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