みなさんにとって「秋」といえばどんな秋でしょう?スポーツの秋、読書の秋、芸術の秋・・・などいろいろありますが、今回は「食欲の秋」につながる秋の食べ物についてご紹介します。
秋の食べ物にはいろんなものがありますが、みなさんはどんなものを思い浮かべるのでしょう?秋になるとおいしくなるものがたくさんありますよね?今回はそんな秋の食べ物を「魚介系」「野菜系」「果実系」に分けて19品目と、最後に「秋に食べ物がおいしくなる理由」や「なぜ秋に食欲が増すのか?」をご紹介します。
目次
秋の魚介類
かつお(鰹)・戻り鰹
「鰹」と一言で言っても「初鰹」と「戻り鰹」がありますが、秋の鰹は丸々太り、脂も乗っている戻り鰹です。
鰹は暖かい海を好む魚です。九州より南、北緯10~30度付近で産卵し、北の寒流との境あたりの餌を求めて北上します。この北上する季節の物が「初鰹(4~5月)」です。そして餌をたくさん食べ、大きく成長した鰹が暖流共に南下する際に獲れるのが「戻り鰹」です。
戻り鰹は脂が乗っているとお伝えしましたが、初鰹はさっぱりしているのが特徴です。
サンマ(秋刀魚)
「秋といえばサンマでしょう」という方も多いのではないでしょうか?9月中旬~10月中旬のサンマは大きくて脂が乗っていて、最もおいしい季節です。
鮭
鮭は秋、産卵のために戻ってくるのでたくさん獲れます。しかし季節外れの鮭の方がおいしいのです。またアキサケに混ざって鮭児(けいじ)という1尾30万もする幻の鮭が取れることもあります(鮭の豆知識も参照ください)。
秋の野菜など作物
さつまいも
幼稚園や小学校時代、秋に「芋ほり」をした経験がある方も多いのではないでしょうか?収穫時期は8~11月です。しかし収穫直後ではなく、2~3ヶ月貯蔵するとデンプンが変化しておいしくなります(さつまいもの雑学も参照ください)。
じゃがいも
じゃがいもは涼しい地域を好む作物です。生産量第一位の北海道では(品種にもよりますが)8~10月に多く収穫されます。
ホクホクしたじゃがいも、じゃがバターにして食べたいですよね。じゃがバターも北海道がルーツと言われています。
またじゃがいもは長崎や鹿児島などで5~7月や2~4月収穫にも収穫されます。
里芋
里芋は年中様々な品種が育てられていますが、9~12月に多く収穫されます。秋の食べ物だけあり、「芋煮会」に使ったり、「中秋の名月」の「芋名月(旧暦8月15日)」に供えたりされます。
里芋は古くから日本の儀式でも使われ、正月のお餅の代わりに食べる使う地域もあります。また、茎も「ずいき」といって食用にもされるのです。
かぶ(蕪)
蕪には赤蕪・白蕪や、日本各地その地方特有の品種が多くあります。旬は11~1月の寒い季節です。根の部分だけでなく、茎や葉っぱも食べられます。ちなみに茎や葉は緑黄色野菜ですが、根は単色野菜です。
蕪といえば刑事ドラマ「赤かぶ刑事奮闘記」の舞台岐阜県高山市。この高山市から長野県にかけては赤蕪の漬物(甘酢漬け)が有名です。
ちょっとブレイク~秋ナスは嫁に食わすな
ナスは初夏~秋にかけて穫れます。ピークは8月で夏野菜です。どうして「秋ナスは嫁に食わすな」と言うのでしょう?
これには2つ説があります。1つは「秋ナスはおいしいから嫁に食べさせるのはもったいない」というも考え。もう1つは漢方で「ナスには体を冷やす効果がある」と言われ、「お嫁さんの体を気遣って」とも言われています。
カボチャ
カボチャの旬は9~12月頃です。若い方は秋のカボチャというとハロウィンのランタンを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし日本にも昔からの言い伝えで「冬至にカボチャを食べると長生きする」と言い、冬至にカボチャを食べる方も多いのではないでしょうか?
カボチャもさつまいもと同様、穫れたては甘みに欠けます。カボチャも1か月くらい貯蔵するとおいしくなり、出荷されます。
レンコン~時期により味が変わる
レンコンは蓮(ハス)の根っこと書きますが、実は根っこではなく茎(地下茎)なのです。
7月中旬~下旬に蓮の花を咲かせます。9月にレンコンの成長は終わりますが、すぐに収穫せず、しばらく(レンコンの)田んぼの中で寝かせるのです。寝かせることでレンコンもタンパク質が糖へと変わります。
だから10~翌年1月くらいに多く収穫されますが、時期(糖への変換具合)により味わいが変わるのも特徴です。
ごぼう~秋のごぼうは歯ごたえがいい
キク科のごぼうの旬は11~翌年1月です。歯ごたえがいいのが特徴です。これに対して6~7月に出回る「新ごぼう」というのもあります。旬の物よりひとまわり小さく、新ごぼうは柔らか目。色も薄めです。
キノコ類
今、スーパーには年中キノコが並んでいますよね。これらは工場で人工栽培されたものです。天然のキノコの旬は秋です。
秋のキノコには様々な栄養がたくさん含まれています。9~11月にいろんなキノコが穫れ、一番おいしい季節です。
お米
秋は新米の季節ですよね。早いもので8月、遅いものでは10月です。収穫後、乾燥、脱穀、精米されて店頭に並びます。
昔は乾燥工程を(田んぼに木を組んで「はざがけ」といった方法で)天日干していましたが、現在はほとんど機械で行います。
ちなみに新米と呼ぶのは収穫した年の12月31日までです。
秋の果実(木の実)
ぶどう
ぶどうも品種により時期は異なります。デラウェアは7月末くらいから穫れますが、遅い品種は11月上旬頃収穫されます(最も多く出荷されるのが10月です)。
近年話題のシャインマスカットは地域にもよりますが、早いものでは7頃から出荷が始まり、12月頃まで販売されています。
ブドウの皮には抗酸化作用を持つポリフェノールが多く含まれていることでも有名ですよね。またブドウはワインの原料にも使われますよね。
柿
柿といえば「柿食へば鐘が鳴るなり法隆寺」という正岡子規の句を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?柿は晩秋の季語です。
柿には渋柿と甘柿があることは知っているかと思います。渋柿もアルコールや炭酸ガスで渋抜きをすると甘く変わるのです。また、干し柿にすることでも渋みがなくなりますよね。
以前ラジオ番組で中継先のアナウンサーが「オレンジ色の柿」と言っていて「柿は柿色だろう!」と突っ込まれていました。最近「柿色」という言葉、あまり耳にしなくなりましたよね。
また、スナック菓子「柿の種」の形。「どう見ても実際の柿の違っていて不思議だ」と思っている方も多いかのではないでしょうか?実はお菓子の柿の種と同じような形の種を作る「筆柿」という柿があります。お菓子の柿の種のように細長い種を作ります。
梨
梨はみずみずしいのが特徴ですよね。品種もいろいろありますが、熟れすぎたジャキッという食感の梨を買ってしまって「失敗した」と感じることも多い果物の1つです。収穫時期も地域や品種により早いものは6月頃から、遅いものでは12月頃まで穫ることができます。ピークは8月から11月頃です。
梨といえばひょうたんのような形をした西洋梨(洋梨)もありますよね。洋梨も秋の果物です。
(日本の梨はシャキッとした食感のものが好まれますが)洋梨はなめらかなでとろけるような柔らかさが特徴です。また濃厚な甘みや芳醇な香りを持ち合わせています。東北地方や信越地方などの寒冷地域で栽培されています。収穫時期は9~12月にかけてです。
リンゴ
リンゴもたくさんの品種があり、品種により収穫時期も8~11月と様々です。やはりリンゴも「シャキッ」としたものが好まれると思います。しかし残念ながら熟れすぎた「ジャキッ」とした食感のものを購入してしまったという人に朗報です。薄く切り、電子レンジにかけるとおいしくいただけます。
リンゴも梨もサクランボと同じバラ科の植物です。
栗
栗といえば栗きんとん?モンブランでしょうか?また、栗ご飯もおいしいですよね?
もっとも簡単な食べ方は茹で栗にします。40~50分ほど茹でた栗を半分に切り、スプーンですくって食べるのです。
栗は江戸時代に参勤交代により日本全国に広まりました。収穫時期は9月から10月です。1つのイガに3つ入っています。
ぎんなん(銀杏)
銀杏の新物は7月から11月頃に収穫されます。イチョウの木から穫れることはご存じかと思いますが、イチョウの木には雄株と雌株があり、雌株にしかできません。
銀杏をたくさん食べる人はあまりいないと思いますが、注意していただきたいことが1つあります。銀杏を食べ過ぎると中毒(ビタミンB6欠乏症)になるのです。一度に多くても10個(子供は4個)くらいにしましょう。
最後に
秋は「実りの秋」。どうして秋にこんなにおいしいものがたくさん出ると思いますか?
- 魚たちは、産卵のために栄養を蓄えるため太り、脂が乗っているから。
- 野菜たちは日照時間が減る冬に備えて栄養を蓄えるから。
- 果実は冬に供える動物に種を運んでもらい、子孫を残すため。
です。
魚や植物たちは次の季節、世代のために栄養を貯めるので秋、美味しくなるのです。
また、秋に食欲が増すのにも理由があります。これは「秋に美味しいものが増える」からだけではありません。そのほかにも
- 日照時間が減ることにより満福中枢をつかさどるセロトニンが減るから
- 寒くなることで代謝が悪くなるので基礎代謝を上げるエネルギーを得るため
- 寒い冬に備えてエネルギーを蓄えるため
- 夏の暑さによる夏バテから回復するため
等、様々な説があります。
いろんな説がありますが、この(秋という)季節は年に1度だけ。秋の味に出会えるのもこの季節だけ。体重が気になる方もいらっしゃるかもしれませんが、秋の食べ物を楽しみましょう。