みなさんは世界一長い曲は何だかご存じですか?それは1985年にジョン・ケージが作曲した「organ2/ASLSP(オルガン)」の639年です。この曲は「限りなく遅く」をテーマにした曲なので、1年半後にはじめて最初の一音を聞くことができます。
長い演奏期間が必要な曲は楽譜の量も凄い枚数かと想像しますが、実際は1枚前後の楽譜です。たった1枚の楽譜からどうして長期間の演奏が可能なのでしょう?それは何度も繰り返す曲や、10年単位の休符が発生するためです。
演奏には休符や繰り返しが必要ですが、世界一長い曲はその長さも世界一と言えます。organ2/ASLSPだと最初の音が演奏されるのに1年半後。世界一長い曲は、私たちの人生も曲の一部として演奏しております。
この記事では世界一長い曲の紹介と、世界一長い曲となった理由を解説します。
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目次
organ2/ASLSP(オルガン)
演奏時間は639年
ジョン・ケージが1985年に作曲したオルガンまたはピアノ専用曲organ2/ASLSP(オルガン)の演奏時間は639年です。この曲は2001年からドイツ、ハルバーシュタットのブキャルディ廃教会にて演奏しております。
最初に音がでるまで1年半
休符の長さも世界一。演奏開始してから最初の音が出たのが1年半後です。この曲の特徴でもある休符期間が長いことも世界一長い曲の理由の一つだと言えます。
「限りなく遅く」
休符前の演奏時期は2020年。休符を経て2022年に和音を加えられて演奏再開して話題に。まさに「限りなく遅く」をテーマにした曲だと言えます。
演奏時間があるのはオルガンの寿命のせい
実はこの曲は理論上、無限に演奏することが可能です。639年と演奏時間がある理由は、オルガンが寿命を迎えるためです。
オルガンの寿命が演奏時間とはスケールが違います。
「ヴェクサシオン」(嫌がらせ)
曲の繰り返しは840回
演奏時間18時間のピアノ曲です。エリック・サティ作曲の「ヴィクサシオン」は和訳すると「嫌がらせ」という意味になります。「嫌がらせ」の理由は演奏者泣かせの曲の繰り返しが840回。これだけの繰り返し回数の多さこそ演奏者泣かせの理由です。
840回繰り返す曲を演奏するのは、強いメンタルが必要です。
楽譜の枚数も嫌がらせ
18時間のピアノ曲なので楽譜の枚数も多いかと思いきや、楽譜はたったの1枚です。普通に演奏すれば1分前後の曲ですが、そのフレーズを840回繰り返します。演奏者からみれば「嫌がらせ」の曲です。
歌詞の内容も嫌がらせ
歌詞内容は
- この歌詞を連続して840回繰り返し演奏するため、あらかじめ心の準備が必要だろう。深い沈黙と真剣な不動の姿勢によって
です。
分かりやすく説明すると、
- この歌詞を演奏するにあたり心の準備が必要。演奏中は気持ちが砕けそうとも動じることがない姿勢が必要
となります。
歌詞内容からもこの曲が演奏者に対しての「嫌がらせ」をする曲だと宣言しております。
初演奏時のエピソード
1969年にニューヨーク・ポケット・シアターで初めて演奏された曲です。午後6時に10人のピアニストとアシスタント2名による演奏がスタート。演奏終了が翌日の0時40分と、まさに演奏者泣かせの曲と言えます。
演奏時間も凄いですが、演奏者も10人以上とスケールが違います。
「Longplayer」(ロングプレーヤー)
演奏時間は脅威の1000年
ジェム・ファーナー作曲「Longplayer(ロングプレーヤー)」の演奏時間は脅威の1000年です。この曲は「ヴィクサシオン(嫌がらせ)」のように曲を繰り返すのではなく、新しいバージョンを作りながら演奏しているのが特徴です。
演奏が終了したら世界一長い曲に
2000年1月1日から演奏が始まり、演奏が終わるのが2999年12月31日です。全ての演奏が終了すれば世界一の長い曲になります。演奏が終わる2999年12月31日に向けて現在も演奏中です。
2999年12月31日には偉業達成の瞬間が見られます。
どうやって演奏しているの?
コンピューター制御の曲です。曲の基盤は存在しておりますが、それをベースにコンピューターが新なバージョンを付け加えながら演奏します。
コンピューター制御の曲なので、人では不可能な演奏ができる理由です。
まとめ
世界一長い曲のスケールは私たちの想像をはるかに超えております。「organ(オルガン)」639年、「ヴィクサシオン(嫌がらせ)」18時間、「Long player(ロングプレーヤー)」1000年です。
普段私たちが聴く音楽は長くても5分から10分ほどです。いかにスケールが違うのかが分かります。
世界一長い曲は、ただ同じフレーズを繰り返すだけでなく、
- organ2/ASLSP(オルガン)音が鳴らない部分も曲の一部と捉える。
- ヴィクサシオン(嫌がらせ)音を繰り返すのが曲である。
- Long player(ロングプレイヤー)1000年の演奏時間そのものが曲だ。
と演奏=曲ではなく、過ごした時間こそ曲そのものだと捉えている点が凄いです。
演奏終了まで長い時間が必要ですが、興味があるなら演奏会に出席してみてはいかがでしょう?