子供の好きな料理の定番と言えば「カレーライス」だと思います。子供だけではなく、大人までみんな好きなカレー、スパイスがきき、野菜やお肉も入って食も進み、スタミナもつきますよね。
そんなカレーですが日本での初めてのカレーは明治時代の旧海軍がイギリスの海軍が食べていたのをまねて食べ始めたと言われています。現在の海上自衛隊でも週1日はカレーライスの日があります。
現在の海上自衛隊のカレーは毎週金曜日で、海上で任務を行っている自衛隊員が何曜日を忘れないように・・・という意味もあるようです。
カレーの本場はインドなのにどうしてイギリスから日本に・・・・とお思いになる方もいらっしゃるかと思います。今回はインドカレーとイギリスとの関係から始まり、いろんな種類のインドカレーをご紹介します。
目次
カレーの語源・「カリ」がイギリスで「カレー」に変わった

ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんがインド発祥といわれるカレーですが、インドにはもともと「カレー」という料理はありませんでした。カレーという料理どころか、「カレー」という言葉もありませんでした。
カレーという言葉はタミル語(インド・スリランカ・マレーシア・シンガポールなどで使われる言葉)でいう「カリ」が語源ではないかと言われています。この「カリ」とはご飯にスープをかけた料理やおかず、ココナッツでとろみをつけたシチューなどの料理全般を表す言葉です。
このカリがインドを植民地支配していたイギリス人によりイギリスへと渡り「カレー」へと変化しました。そして、イギリスをはじめとするヨーロッパの国々によって世界へと広まっていきました。
現在でもインドには外国人向けのお店のみでしか「カレー」という言葉を見かけることはありません。
インドカレーの種類

先ほども記しましたがインドには「カレー」という料理はありません。
発祥の地なのにないのは不思議ですよね
だからここでは紹介することはありません、・・・とはいいません。ここでは世界各国で「カレー」に分類される香辛料をきかせたスパイシーなインド料理を紹介します。
サーグ

「サーグ」とは青菜のことをさします。つまりグリーンカレーのことです。主にホウレン草、その他にはツルムラサキ、カラシナ、大根菜などが入ります。このうちホウレン草のみはペースト状にしたものが加えられ、そのほかはザク切りにしたものが煮込まれます。
サンバール

サンバールはサンバル、サンバー、サーンバールとも言われます。インドの方にとっては日本で言うところのお味噌汁のような存在です。野菜とキマメを煮込んだスパイスを使ったスープです。野菜にはそれぞれの季節に取れる物、例えばカボチャ、ナス、オクラ、大根などを複数種類入れることもあれば1種類のみの時もあります。よくご飯と共に食べられます。インドでも南部でよく食べられる料理です。
コルマ

ダヒ(インドやマレーシアで食べられるヨーグルトの一種)と、生クリーム又はココナッツミルク、ペースト状にしたナッツ類などをベースに作られます。酸味、甘味、辛味のバランスが取れた、マイルドでクリーミーなカレーです。鶏肉や羊、ヤギなどの肉が使われます。
ちょっとブレイク~インドのカレーには牛肉は入らない

あなたの好きなカレーはビーフカレーですか?ポークカレーやチキンカレーでしょうか?実はインドのカレーには牛肉は使われません。これは宗教上牛肉は食べないからです。インドの宗教というと・・(中学校の社会科を思い出してください)・・ヒンドゥー教ですよね。
ヒンドゥー教では牛は神聖な動物とされています。インド人がすべてヒンドゥー教徒ではないのですが、多くの人がヒンドゥー教徒であるインドのカレーには牛肉は使われることがないのです。
ダール

「ダール」とは豆類のことを表します。つまり豆カレーといったところでしょうか。ダールにはもやしになる緑豆であるムング・ダール、レンズ豆のようなマスル・ダール、黒色のひよこ豆のようなチャナ・ダール、こちらももやしとなる(日本でブラックマッペ豆と言われる)ラウド・ダールなどの豆を使います。
これらの豆を挽いて割ったものを香辛料と共に煮たものです。ご飯やチャパティと共に食べ、ダール(カレー)のみで食べることはありません。
ちょっとブレイク~日本に来て初めてナンを食べたインド人がいる??

冒頭に「インドにはカレーという料理はない」と伝えました。でも私たちの中では「カレーと言えばインドが本場」というイメージがありますよね。そして「インドカレーと言えばナンにつけて食べる」といった感覚を持っている方も多いと思います。
しかしここの「ちょっとブレイク」の題に「[日本で初めて何を食べたインド人がいる]ってどういうこと?もしかして貧しい家庭では食べられないとか?」と感じる方もいらっしゃるかと思います。
実はナンはネパールや北インド地方では食べられているのですが、南インドや西インドなどでは食べないのです。
このことを知ってか知らずか、石窯製造・販売していた石材店を営む日本人が日本のインド料理店を回って石窯を販売したのが始まりで、日本人に「インドカレーにはナン」というイメージがついてしまったのです。だからインド人でも日本で初めてナンを食べたという人がいるのです。
ダール・タドカ

ダール(カレー)に対してダール・タドカはムング・ダールとマスル・ダールの2種類の豆のみを使います。そして「タドカ」とは北インドでの調理法の1つです。完成直前の鍋の中にさらにアツアツの油(ギー)とスパイスを入れることをタドカと言います。このタドカをするとスパイスの香りが一気に鍋に広がります。これがダール・タドカの大きな特徴です。
ネギラーメンに最後にネギ油を注ぐお店があるのと同じかもしれませんね。
ちょっとブレイク~「ギー」ってどんな油

タドカで最後にアツアツにして注ぐ「ギー(ghee)」という油、どんな油か皆さんはご存知ですか?耳にしたこともない方もいらっしゃると思います。
なんとこの油「ghee」はアメリカのある研究報告で体にいい油に選ばれたり、TIME誌では「もっとも健康にいい食品ベスト50」にも選ばれたりしています。
インドでは古くから使われているこの油「ギー」は乳脂肪分と水を完全に分離させ、純粋なバターのみを取り出した油のことを言います。どこかで見かけたらぜひ一度購入して、普通のバターとの違いを味わってみてください。
キーマカレー

キーマカレーの「キーマー」とは挽き肉のことを表します。だから、スープ状であれ、ドライカレー風であれ、私たち日本人になじみ深いとろみがついたカレーであれ挽き肉が使ってあればキーマカレーに分類されます。
肉団子が入っているカレーもキーマカレーと言います。
バターチキンカレー

スパイシーさが特徴のインドカレーの中で唯一まろやかで口当たりが優しいのがこのバターチキンカレーです。それもそのはず、ヨーグルトや生クリームが入っています。もともと余ったタンドリーチキンをもとにバターを入れて作られました。
さいごに・・・
いかがだったでしょうか? 食べてみたいカレーはありましたか?近所にインド料理屋さんがある方はぜひ一度本場のインドカレーを味わってください。「近所にインド料理屋がない」という方でも、最近は「レトルトカレー」でも販売されているインドカレーもありますので一度味わってみてください。
個人的には辛いのが苦手な私はバターチキンカレーが好きです。インドのカレーなのにまろやかさが味わえるなんて素敵ですよ。
また、近くに「インドカレーにはナンをつけて食べないと・・・!」なんて言っている方がいたらぜひ、教えてあげてください。「ナンを食べるのはインドの北部地域だけなんだよ」ってね。