日本の朝食といえばやはり「ご飯」!世界的に見て圧倒的な生産量を誇る日本だからこそ当たり前のことですよね!…と断言できるはずもなく。食の欧米化によって、日本の朝食はご飯派、パン派、シリアル派など、朝食にもさまざまなバリエーションが増えました。今回はそんな1つの派閥であるパンに塗る、ある食品のお話です。
食パンには、ジャムを塗ったり、様々な具材を挟んで食べたりとは人それぞれ好みが分かれるところではあります。その下地としてバターやマーガリンを塗っている方もいるかと思われます。そんなバターとマーガリンは香りや塗った後のパンの食感に若干の差異はありますが、味はほぼ同じに感じると思います。
しかし、その中身や製法、誕生経緯はまったく違うものなのです!今回はバターとマーガリンの違いについて解説します。
そもそもバターとマーガリンって何?

バターとは?
牛乳を分離することによってできた、脂肪とたんぱく質を含むクリームを固めた食品です。バターは世界的には、どの家畜の乳から作られたものでもバターと呼ばれますが、日本のバター(butter)の語源はギリシア語から来ており、牛のチーズのことを指しています。しかしそれはあくまで語源の話であって、日本にも牛乳以外で作られたバターも存在します。
バターにもいくつか種類があり、塩の有無と発酵の有無によって計4種類に分けられています。現在スーパーマーケットなどの店頭に並んでいる商品は「無発酵で有塩か無塩のバター」が多いです。その理由として発酵バターはコストがかかるためどうしても高額になってしまうという背景があります。
マーガリンとは?
マーガリンは、植物性・動物性の油脂が原材料の加工食品です。植物・動物から精製された油脂に発酵乳や食塩、ビタミンなどを加えたものを練って固めて作られます。マーガリンが生まれたきっかけは、バターは元々値が張るという理由と、世界情勢や自然災害などの事情によって現在も値段が高価であるという事情があります。
そのため、安価に製造できるマーガリンが代替品として作られました。元々は「人造バター」と呼ばれていましたが、名前の響きの悪さもあってか1952年にマーガリンと改名されました。ちなみに、日本国内では油脂80%以上を含むものは「マーガリン」、それ以外は「ファストスプレッド」という名称で分類されています。
トロリとした味を楽しみたい人はバター、香ばしさを感じたい人はマーガリンと好みで分かれそうですね。
それぞれの誕生の歴史

バター誕生の歴史
バターが誕生した経緯は不明であると言われています。そもそもバターは「何かしらの容器に生乳を入れてシェイクすれば誰でも作ることができてしまう」という理由があるからです。バター誕生の最古の記録は、紀元前5世紀頃と言われており聖書にその記述が存在します。
日本では、江戸時代頃に小規模なものではあったものの生産は行われており、オランダ語に由来して「ぼうとろ」、あるいは「白牛酪」と呼ばれていました。本格的な生産は明治維新後で、外国への輸入のために政府が酪農の普及を指示したことから始まりました。
マーガリン誕生の歴史
マーガリンの名称としての語源である「マルガリン酸」自体は1813年に発見されていましたが、実際に製品化されたのは19世紀末になります。製品としてマーガリンが誕生する発端となったのは、歴史的にも有名な人物であるナポレオン3世です。
フランスの皇帝であったナポレオンは、当時高価であったバターの代替品となるものを募集していました。その募集によって1869年、牛脂に牛乳を加えて固めたものが考案されます。それが「オレオマーガリン」であり、のちに省略されて現在の「マーガリン」という名称になったのです。
カニの代わりにカニカマができたようなものですね!
それぞれの成分は?

バターの成分
バターは、ビタミンAが豊富に含まれている食品です。ビタミンAには、肌や粘膜を保つ効果と細菌に対する抵抗力を強める作用があります。またバターの80%は乳脂肪というところもポイントです。乳脂肪は食用の油脂の中では、最も消化によいとされており、胃腸が弱い人でも安心で食べることができると言われているほどです。
マーガリンの成分
マーガリンは油脂を原材料としている点もあって、脂肪分がバターよりも若干多いとされています。またバターに含まれているビタミンAがマーガリンには含まれていないという点も特徴的です。更に製造過程でできてしまうトランス脂肪酸が問題となっており、心臓疾患のリスクを引き上げるとのデータがあります。
この辺の問題に関しては代替品のため致し方ないリスクだと言えるでしょう。
極論を言えば、どんなに健康とうたわれている食品でも食べすぎは良くないです。
まとめ
- バターは、牛乳を分離することによってできた、脂肪とたんぱく質を含むクリームを固めた食品。一方、マーガリンは、植物性・動物性の油脂が原材料の加工食品。植物・動物から精製された油脂に発酵乳や食塩、ビタミンなどを加えたものを練って固めて作られる。原材料が牛乳か油脂であるかが大きな違い。
- バターが誕生した経緯、時代・年代は明確には不明とされている。紀元前5世紀頃の聖書にバターに関しての記述があるため、その頃には生まれていたとされている。一方、マーガリンは1869年に考案され、製品化されている。
- バターには、ビタミンAが豊富に含まれていて、消化に良い。
- マーガリンは製造過程で生成されるトランス脂肪酸が心臓疾患のリスクを引き上げるという学術的データが出ている。