スポーツの世界や企業間には、明言されてはいないが暗黙の了解があります。例えばプロ野球では、点差が開いた試合にてバント攻撃をしてはいけない。自転車レースでは、一番先頭の選手は二番手選手を風圧から守る代わりに後方の選手をブロックする。これらは暗黙の了解です。
暗黙の了解はスポーツの世界だけでなく、仕事や企業同士にも存在します。企業同士の暗黙の了解として有名なのが自動車業界。例えばトヨタ自動車とダイハツ自動車は主力となる車種の分野にはお互いに踏み入れないのは暗黙の了解です。
法的に禁止されていないが、お互いの信頼で成り立っている分野だからこそ暗黙の了解が必要と言えます。この記事では、暗黙の了解には何があるのかについての紹介。それに伴う問題点と解決法を紹介します。
目次
暗黙の了解とは
暗黙の了解とは、ルール上は禁止ではないが当事者間で理解が得られているルールのことです。プロスポーツの世界が有名ですが、一般社会にも暗黙の了解が存在します。
スポーツ業界
ここでは全てを紹介できませんが、プロ野球と自転車レースの暗黙の了解について紹介します。
プロ野球
有名なのが「点差が開いた試合に攻撃側はバント攻撃をしてはいけない」です。バント攻撃の目的は塁にランナーを増やして得点を重ねるのが目的。プロ野球はお金が動いている試合なので、一方的な試合展開だとファン離れにつながるので、それを防ぐのが目的です。
そもそもホームグランドのチームがここまで一方的な展開になること自体、プロとして問題です。
自転車レース
有名なのは、レース直前に発表する選手のコメント通りにレース中に並ぶ(ラインを組む)。プロの自転車レースもお金が動く世界なのでファン離れを防ぐのは必須です。最初から結果がわかるレース展開ではファンも離れるので、このような暗黙の了解が存在します。
クリエイター業界
クリエイター業界における暗黙の了解は「公式には発表されていないがその業界ではダブーにしていることを守る」です。特に二次創作の分野においては、訴訟問題に発展するケースもあります。
二次創作における暗黙の了解
二次創作とは、原作をベースにしたオリジナル作品のことです。二次作品における暗黙の了解として、公式には発表されていないが特定のジャンルには手を出さないことです。原作のイメージが著しくダウンするような行為は、二次作品の制作が禁止となる恐れがあります。
著作権が複雑なジャンルもあるので注意が必要です。過去には、訴訟まで発展したケースもあります。
企業同士における暗黙の了解
自動車産業において主力車種が同じになるケースもあるので、特定分野の車種には進出しないのは暗黙の了解です。
大企業間の暗黙の了解
トヨタとダイハツの関係に暗黙の了解が見られます。どちらも同じグループですが、トヨタだと普通車、ダイハツだと軽自動車が主力車種です。お互いに相手の主力車種となる分野に進出しないことで、共倒れを防いていると言えます。
一般旅客バス会社の暗黙の了解
お互いの営業エリア内で一般路線バスの営業をしないのは、バス会社の暗黙の了解です。一般路線バス会社には、各社ごとに営業エリアが存在します。お互いのエリアを侵入しないことで、バス会社の共倒れを防ぐ役割を担います。
長距離の高速バスだと共同運航なので、お互いの営業エリアへ相互乗り入れが可能です。
暗黙の了解における注意点
暗黙の了解は所属している組織だけのルール。所属する組織が変われば、以前の組織にあった暗黙の了解は通用しないので注意が必要です。
新たな環境では通じない
所属する組織が変われば、以前にいた組織のルールは通用しません。場合によって、これまでの暗黙に了解が原因で、組織に被害を出すこともあります。新しい環境では、環境に合わせた考えが必要です。
組織が変われば以前の暗黙の了解には何も意味がありません。
同調圧力の弊害
組織は、それぞれ違う目的を持つ人が働いている場所。暗黙の了解は一般社会では間違っていても、組織内では通じるのが特徴です。結果、同調圧力が組織の社会的信頼低下へと繋がるリスクがあります。
暗黙の了解に対する解決法
それぞれ違う目的で所属しているのが組織です。暗黙の了解は同調圧力という側面があり、業務の妨げとなるリスクも。次に暗黙の了解に対する解決法を紹介します。
意見を出しやすい環境作り
暗黙の了解には、同調圧力の側面があります。同調圧力を防ぐには、意見が出やすい組織の環境作りが必要です。
業務の妨げとなっている部分を明確化
暗黙の了解による業務の妨げは何かについて、問題点を明確にします。改善すべき点は改善して、可能の限り業務に支障が出ないよう働きかけます。
まとめ
暗黙の了解はスポーツの世界だけでなく、企業や組織、職業の間にも存在します。公式には明言してなくても、お互いに持ちつ持たれつの関係を保つことが暗黙の了解。結果、双方の共倒れを防ぐことが目的なのですが、近年では状況が変化しております。
暗黙の了解には同調圧力の側面があり、スポーツの不祥事や自動車のリコール問題は良い事例です。間違ったことを意見できない雰囲気だからこそ起こる不祥事。様々な意見が出しやすい環境づくりや問題点の明確化など、バランスをとるのがポイントではないでしょうか。