みなさん戸籍と住民票の違い、分かりますか?「住民票は現在のもので戸籍は・・・?」と「?」を浮かべる方が多いと思います。今回はこの2つの違いをご紹介します。
大きな違いに戸籍には本籍が書かれていて現住所は書かれていません。住民票の写しには現住所と共に補足データとして本籍などを記載することもできます。
今回はそんな戸籍と住民票の違いをお伝えします。はじめに戸籍と住民票について説明し、それぞれの違いをお伝えします。その後戸籍謄本(とうほん)と抄本(しょうほん)の違い、本籍とはどんなものか。本籍を変えるメリットやデメリットをお伝えします。
目次
戸籍とは

はじめに戸籍とはどんなものかについて紹介します。
戸籍は「日本国民が生まれてから死ぬまでの身分関係(出生・婚姻・死亡や親族の関係)が登録され、また公に証明するための物。」です。
現在の戸籍は「夫婦とその(未婚で同じ苗字の)子」で作られています。
家族構成の推移がわかる
先ほど身分関係を記したものとお伝えしました。「身分」というと大げさなのですが、これは親族法で定められた家族関係のことです。具体的には
- 親子・夫婦・兄弟であること。
- いつ結婚したか。いつ生まれ、亡くなったのはいつか。
などの家族構成の推移が書かれています。
つまり戸籍謄本を遡る(さかのぼる)ことで先祖の名前や家族構成の移り変わりが分かります。
「両親と未婚の子供」と書きましたが、子供は結婚すると両親の戸籍から除かれ(除籍)、その旨が書かれます。そして結婚相手との新たな戸籍が作られるのです。
結婚のことをよく「入籍」と言いますが、この使い方は本来間違っています。結婚は「(戸)籍に入る」のではなく、新たな戸籍ができるのです。
戸籍謄本に書かれていること
戸籍謄本には「この戸籍に関する情報」と「家族一人一人に関する情報」の2つに分かれています。
「この戸籍に関する情報」部分には
- 本籍
- 筆頭者の名前
- 戸籍が作られた日、または(子供が生まれた、結婚したなどで)改製された理由とその日付
等がかかれています。そのあとに家族一人一人の情報が記されています。ここには個々の「その人の情報」「出生に関する情報」「婚姻に関する情報」の3つが書かれています。
その人の情報には
- 名前
- 生年月日
- 両親の名前とその続柄(つづきがら・長男、長女など)
が、出生に関する情報には
- 出生日(生年月日と同じ)
- 生まれた場所(病院などの所在地)
- 役所に届けた日と届けた人
が、婚姻に関する情報には
- 結婚日
- 配偶者の(旧姓での)名前
- 結婚前の戸籍の情報(本籍、筆頭者名)
が記されています。
筆頭者とは
筆頭者とはこの戸籍で最初に書かれている人のことです。ここには旦那さんの名前が書かれていることが多いのですが、奥さんの名前が書かれていることもあります。この筆頭者は生まれた年は関係ありません。結婚後、旦那さんの苗字にするか、(いわゆる婿養子となる)奥さんの苗字を名乗るかで変わってきます。
結婚後、旦那さんの姓にした時の筆頭者は旦那さんが、奥さんの姓にした場合は奥さんが戸籍の筆頭者になるのです。
近年、話題になる「夫婦別姓」が認められた場合の筆頭者はどうなるのでしょうね?
住民票とは

住民票は「その人がそこに住んでいることを公に証明」するものです。住民票の写しには
- 名前と旧姓での名前
- 個人番号(マイナンバー)
- 生年月日
- 性別
- 住所
- そこに住み始めた日付(年月日)
- 以前の住所
が書かれています。また必要に応じて
- 世帯主の名前と続柄
- 本籍と戸籍の筆頭者名
を載せることができます。
戸籍謄本と住民票の違い(まとめ)

上に戸籍と住民票について書きましたが、ここではそれぞれの違いをまとめます。
戸籍は家族に関する情報を記したものです。結婚してから子供が生まれ、子供の結婚、誰が死んだのかといった家族構成の推移を記したものです。
戸籍に対して住民票はどこに住んでいるかを証明するものです。今住んでいる所やその前に住んでいた所など居住地がわかるものです。
戸籍の謄本と抄本の違い

戸籍というと「戸籍謄本」と「戸籍抄本」がありますが、これらの違いご存じですか?戸籍謄本を「全部事項証明」といい、戸籍抄本を「個人事項証明」といいます。
つまり、
- 戸籍謄本:家族全員(5人家族なら5人全員)の情報が書かれたもの。
- 戸籍抄本:5人家族のうち、1人分の情報を抽出したものです。
戸籍謄本には「戸籍に関する情報」と「家族(全員の)一人一人に関する情報」が書かれていす。これに対して抄本には「戸籍に関する情報」と「家族のうち一人だけの情報」が記されています。
戸籍だけでなく、住民票にも家族全員が記されたものと家族のうち1人だけの情報が書かれたものの2種類があります。
こんな時に戸籍謄本・戸籍抄本が必要
ここではどんな時に戸籍謄本や抄本が必要なのかをお伝えします。
戸籍謄本
戸籍謄本は以下の時に必要です。
- 厚生年金や遺族年金などの受給申請
- 本籍地以外での結婚届・離婚届の提出
- パスポートの発給申請
- 公正遺言証書の作成
- 本人の老齢年金の請求をする際
に求められます。また、家族が死んだ時は資産の相続で必要となります。
戸籍抄本
戸籍抄本は婚姻届け提出時、結婚・離婚の際など、名前が変更したときに個人の証明として求められます。
しかし戸籍抄本でなければならないというわけではなく、謄本でももちろんOKです。
本籍とは

あなたは自分の本籍をご存じですか?住民票には現住所が書かれています。現住所とは今、住んでいるところですよね。「本籍=現住所」というわけではありません。では本籍とはどんな場所なのでしょう?
この「本籍」は昔の戸籍制度の名残として存在しています。旧制度では出稼ぎなどでしばらく家を離れた人の「家族の拠点」という意味で作られました。
現在の本籍は単に戸籍に書かれている住所のことです。この本籍、実は日本国内どこでもいいのです。あなたとは縁もゆかりもない場所、例えば他人の土地を本籍にしても構いません。
例えば、某テーマパークや公園、皇居、北方領土など、正式な住所が分かればそこを本籍にしても構いません。
1つの住所に何世帯の本籍が置かれていても問題ありません。ただし正式な住所が決められていない場所(例えば山梨果静岡か決まっていない富士山の山頂など)を本籍にすることは出来ません。
だから、引越したからと言って本籍を変える必要はありません。
引越をした時、本籍を変えるメリットとデメリット
先ほど「引越をしても本籍を変える必要はない」とお伝えしました。「変える必要はない」のですがここでは本籍を変えるメリットとデメリットをお伝えします。
メリット
- 戸籍謄本や抄本を取り寄せるのが楽
実は戸籍の原本は「本籍」がある役所にあります。だから戸籍謄本(抄本)が必要な時は本籍がある(市町村)役場へ出向くか、郵送で送ってもらう必要があるのです。本籍を自分の住む自治体にしておけば、自分の住む町の(市町村)役場で貰うことができます。
デメリット
引越の度に本籍を変更すると面倒なことがあります。例えば
- 免許証
- パスポート
など、本籍が記載、または登録されているものはすべて変更しなければなりません。また遺産相続の時、相続する権利を証明するため戸籍謄本が必要です。この証明には死んだ家族が生まれてから死ぬまでの戸籍謄本が必要となります。
もし5回引越をして、その都度本籍を変更したとすると全部で6つの戸籍謄本が必要となります。それぞれ取り寄せるのは死んだ後、遺産を相続する人なのです。
家族の中で自分が先に死ねばいいのですが、自分が相続する人になった場合大変ですよね?
数年前、私の祖母が死んだ時、母親は苦労していました。東京の現在は残っていない区で生まれた祖母。取り寄せたのですが、はじめはどこの役所の管轄なのかから調べていました。
最後に
いかがでしたか?戸籍と住民票について分かっていただけたかと思います。
この戸籍制度、世界各国にあるのかと思いきや、なんと日本と中国、そして台湾にしか残っていません。昔は東アジア各国にあった制度だといいますが、現在はこの3か国のみです。韓国は2005年に廃止されています。
この2つの制度がある理由にはいろいろありますが、管轄省庁の違いもあります。戸籍は法務省の制度で、住民票は総務省が管理しています。逆に2つの制度があるから国民の把握が上手くいっているという人もいます。
戸籍、住民票に続き今は影を潜めた住基ネット、さらに国民にポイントを付与してまで広めたマイナンバー制度。いろんな制度がありますが、どれか1つにまとめるのは難しいようです。