日本の冬と聞いてあなたは何を想像しますか?雪景色を楽しんだり、雪遊びをしたりと人によってさまざまなイメージがあると思います。しかし大半の人は「こたつ」を思い浮かべるのではないでしょうか?そんな「こたつ」という言葉の次に来るものの代表格が「みかん」です。この2つは切っても切れない関係と言っても過言ではないでしょう。
ここで突然ですが問題です。みかんは英語で何と言うでしょうか?
「そんなの今どき小学生でも知ってるよ、Orange(オレンジ)でしょ?」
と思いながら「オレンジ」と答えた方が大半だと思いますが、不正解です。実は私達が普段何気なく食している「みかん」は「Orange(オレンジ)」という名前ではなかったのです!
今回はそんな「みかん」の謎や「オレンジ」と「みかん」についての関係性を歴史や学術的な観点から紐解いていきます。
目次
日本のウンシュウミカンの歴史

日本に出回っているみかんはオレンジではありません。その理由を解説していきます!
私たちの知っているみかんは「ウンシュウミカン」
現在日本に出回っているみかんは「ウンシュウミカン」と呼ばれており、その歴史は江戸時代にまでさかのぼります。江戸時代後半、日本は中国との交易で「みかんの種子」を手に入れました。その種子の出どころが中国の温州(ウンシュウ)市であったことから「ウンシュウミカン」と名付けられた説があります。
みかん=オレンジではない!
しかし、後の研究によって本来の原産地は日本の薩摩地方であるという説も存在し、温州由来ではない可能性も出てきています。この薩摩地方の件もあってか「ウンシュウミカン」は欧米でsatsuma mandarin(サツママンダリン)やsatsuma(サツマ)と呼ばれています。
また「ウンシュウミカン」にはCitrus Unshiu(シトラスウンシュウ)という学名があり、海外ではsatsumaやmikanという名称が一般的になっています。また学術的に見ると「ウンシュウミカン」は「オレンジ」と同じくミカン科のミカン属ではあるのですが、別の種類です。つまり「みかん(ウンシュウミカン)= オレンジ」ではありません。
日本とオレンジについての歴史

オレンジの原産地はインドのアッサムという名前の地方で、明治時代に日本へとやってきました。オレンジの種類は大きく分けて「スイートオレンジ」「サワーオレンジ」「バレンシアオレンジ」の3つがあります。日本で流通しているオレンジの大半は海外からの輸入品で、日本国内で栽培されているオレンジのほとんどは「ネーブルオレンジ」です。
国内の主な生産地として、広島、和歌山、静岡などが挙げられます。
みかんVSオレンジ!?2つの違いを比較!

次にみかんとオレンジの違いについて見ていきましょう。
味の違いについて
みかんは甘みが強く、オレンジは苦味と酸味、そして独特な風味が特徴的です。オレンジに関しては品種によって甘みや苦味などに違いがあり、味によって「そのまま食べる」「絞って使う」など用途によって使い分けます。
食べられる部分は?
野菜や果物には、トマトのへたなど一般的に食べられない、食べない部分があります。この食べられない部分の割合を「廃棄率」と呼びます。みかん1個あたりの廃棄率は22%で、オレンジ1個あたりの廃棄率は35%です。これは皮の厚みが大きく関係しており、みかんは薄く、オレンジは厚いです。
皮が厚いのには理由があり、酸味があればあるほど皮は分厚くなるからです。
みかんオレンジ豆知識

この項目ではみかんとオレンジの豆知識を紹介します!
食べられない部分の再利用、オレンジピール!
余談ではありますが、この一般的には食べないであろう「オレンジの皮」を乾燥させて砂糖をまぶした「オレンジピール」というお菓子が存在します。オレンジの独特な風味と噛み切れる程度の程よい硬さの皮の食感と砂糖の甘みがマッチしていて、とても美味です。「みかんの皮」や「ゆずの皮」を利用したものもあります。
大体のコンビニで購入可能なのでぜひ一度探してみてはいかがでしょうか?
愛媛県の「みかんごはん」
日本の「みかん生産量」TOP3は和歌山・愛媛・静岡の三県で、ここ数十年は不動のものとなっています。その中の愛媛県には、みかんを使った一風変わった炊き込みご飯が存在します。それが、みかんジュースとご飯を一緒に炊き込んだ「みかんジュース炊き込みご飯」です!
炊き込みご飯は、しょうゆ・酒・だしの素をご飯と一緒に炊き込むのが一般的な調理方法なのですが、そこをみかんジュースに置き換えるというワイルドな料理です。味の方は意外にも美味しいらしく、みかんの甘みと酸味がご飯にマッチしているようです。
そういった理由もあってか、愛媛県の給食では「みかんジュース炊き込みご飯」が献立に組み込まれています。生産量TOP3の愛媛県であるからこそ、みかん+ご飯という普通では思いつかないような独自の発想が生まれたのかもしれません。調理に必要なものはみかんジュースとお米だけなので、機会があればぜひチャレンジしてみてください。
まとめ
みかんは英語で「Orange(オレンジ)」ではありませんでした。でも間違えるのは仕方ないと思います。リンゴはApple、バナナはBananaと来て、じゃあみかんは?となったとき「Mikan」や「Satsuma」、ましてや「Citrus Unshiu」と来たらなんとなく収まり悪い気がしますよね。
そもそもみかんの正式名称が「ウンシュウミカン」であると知っている人は農家くらいのものではないでしょうか?このように我々の身近な物の名前にも、歴史的背景や別の名前があるはずです。物や事の名前には必ずそう名付けられた理由が存在するのです。
人生を振り返ってみて、その中で気に入った物、長く付き合っている物の名前を調べてみてください。「みかん=オレンジではない」のような意外な発見ができるかもしれませんよ?