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雑穀の種類! ~ ヒエ、アワ・・・いろんな雑穀についてご紹介

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近年雑穀がブームになっていますよね。「健康にいい」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?お米と比べていろんなビタミンミネラルがたくさん含まれ、美容やダイエット効果もあるとも言われています。

良く食べられる方法としてお米と一緒に炊くものがあります。そのための雑穀ミックスが販売されていますよね。皆さんも「五穀豊穣」という四文字熟語を知っていると思います。この言葉の表す「五穀」とは米、麦、粟(あわ)、豆、黍(きび)のことです。以前は雑穀米というとこの5つの穀物が入った五穀米が一般的で、「雑穀ミックス」も五穀米用のものが多く販売されていました。

しかし近年15種類や16種類もの雑穀のミックス、多いものでは22種類の雑穀が入った物も売り出されています。またシリアルにもいろんな雑穀が混ぜてあるものも売られています。

今回はそんな雑穀の雑学です。雑穀とは何か?雑穀にはどん植物のどんな実なのかを紹介します。「ヒエ」や「アワ」くらいなら聞いたことがあるかもしれません。この他に、現代の日本人にとっては初めて聞くものや、「これも雑穀??」と驚きの雑穀までお伝えします。

穀物とは

皆さん「穀物とは何?定義は?」と聞かれて答えられる方は少ないかと思います。穀物は「人が日常的に食べる(主に)植物の種に当たる物」のことです。穀物は大きく2つに分けられます。主に主食として用いられるものとそれ以外です。前者を「主穀」といい、主穀以外の穀物が「雑穀」です。主穀にはお米、小麦、トウモロコシが入ります。

ちょっとブレイク~トウモロコシは野菜?穀物?

日本人にとっては「トウモロコシは穀物?」と「?」を浮かべたくなると思います。実は裁判所でも「トウモロコシは穀物か?野菜か?」と問題になったことがありました。その時は(それ以前と同様)「穀物」と判断されました。しかし、その後「穀物」と「野菜」の両方に分類されています。

雑穀とは

先ほど「主穀以外の穀物が雑穀」とお伝えしました。しかしこの「雑穀」は穀物を大きく分類した場合の(大義での)「雑穀」です。この大義での「雑穀」をさらに細かく分類すると3種類に分かれます。

  • 雑穀:お米以外のイネ科の植物の実(ヒエやアワなど)
  • 菽穀(しゅくこく):豆類
  • 擬穀(ぎこく):ソバ、アマランサス、キノア(キヌア)など

また、お米など主穀を含めたイネ科の穀物を「禾穀(かこく)類」とも言います。実はトウモロコシや小麦もイネ科の植物。だからこれらも禾穀類に入ります。

雑穀の種類

ここからは(大義での)雑穀にはどんな穀物があるかのお話です。今回は(狭義でのイネ科の)雑穀と擬穀に絞ってご紹介します。(菽穀[豆類]は大豆や小豆、インゲン豆といった皆さんなじみがあるものです。だから省かせていただきます。)

(狭義の意味での)雑穀・イネ科の雑穀

はじめにイネ科の雑穀についてご紹介します。イネ科の雑穀は「キビ亜科」それ以外のものに分けました。

キビ亜科

トウジンビエ (Pennisetum glaucum)

トウジンビエは別名「クロキビ」と言います。クロキビというと「黒いの?」と思いますが、黒いのは天然に生えているものだけです。人工栽培用に改良されたものは白色です。先史時代からインドやアフリカなどで栽培されていたと言われています。高さ1~3メートルにも育ち、先端にガマのような穂を作り実らせます。

アワ (粟・Setariaitalica)

アワの原種は「猫じゃらし」という名でおなじみのエノコログサです。アワは高さ1~1.5メートルほどになり、その先端に白や黄色の実を付けます。一言でアワと言っても100もの品種があると言われています。お米にもち米とうるち米があるように、アワにも粘り気が出る「モチアワ」とそうでない「うるちアワ」があるのです。

キビ (黍・Panicum miliaceum)

キビと言えば皆さんご存知、「桃太郎に出てくるキビ団子の材料?」と思う方も多いでしょう。キビにも「うるちキビ」と「モチキビ」があります。実が黄色で「黄実」からキビと名付けられました。

シコクビエ (Eleusine coracana)

シコクビエと聞いて「四国と関係があるの?」と思った方もいるかかもしれません。しかし原産地はアフリカ。シコクビエのシコクは四国ではなくも「四石」です。実は「1反(990平方メートル)から4石(722リットル)収穫できる」ことから名付けられたと言われています。

シコクビエには地域により「竜爪稷」「鴨脚稗」といった別名もあります。シコクビエには花の柄(え・後に穂となる部分)が数本出てきます。この形が竜や鳥の足のように見えるからこのように呼ばれるのです。実は茶色が多い中、白っぽい実もあります。お粥にしたり、また粉にしてパンや団子にしたりします。

ヒエ (Echinochloa spp.)

ヒエという名前は「冷え」から付けられたと言われています。これは「寒さに強い」という意味からからです。また、ヒエはお米より栄養素も豊富で、かつバランスもいいので現在注目を集めている雑穀の1つです。

スズメノコビエ (Paspalum scrobiculatum)

このスズメノコビエ、インドでは穀物として栽培されてもいますが、日本では野草の1つとして自生しています。雑穀としてのスズメノコビエは「ゴド」「ゴドミレット」「ゴドラ」とも呼ばれることもあります。(明るめの)茶色から(暗めの)灰色の実で、長さ2ミリ幅1.5ミリほどの大きさです。スズメノヒエによく似た植物です。

この他、イネ科・キビ亜科の雑穀には「スマトラキビ」「ブラキアリア・デフレクサ 」「ケニクキビ」「テフ」などがあります。

その他のイネ科雑穀

ソルガム

ソルガムは正式名所を「モロコシ」と言います。日本で「もろこし」というとトウモロコシを思い浮かべる方が多いかと思います。しかし全く別の植物です。タカキビ(高黍)とも呼ばれ、「高黍なら聞いたことがある」といった方もいらっしゃるのではないでしょうか?

実の大きさは3ミリくらいで、トウモロコシより少し小さいです。皮にタンニンを含んだ茶色のものと、含まない白色のものがあります。最も多く生産されている国はアメリカで、品種改良も盛んです。

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ソルガムは世界五大穀物の1つです。ちなみにソルガム以外の五大穀物は小麦、イネ、トウモロコシ、大麦で、世界で5番目に多く作られています。

ソルガムは乾燥に強い植物です。だから小麦や稲が育たない地域でも育てることができます。もちろん食用としても育てられますが、お酒や砂糖の原料にもなる雑穀です。

ハトムギ

爽健美茶のCMソングに出てくるハトムギも雑穀です。「ハトムギ茶」といったお茶にも利用されますが、もちろん食用にも使われます。鳩が食べることからこの名が付けられました(またたくさん収穫できるから「八斗(144リットル)麦」が変化したという説もあります)。

他の麦類とは違って、ほとんどのハトムギはデンプンに(もち米のように)粘りがあります(まれにうるち米のように粘り感がないものも含まれます)。皮は黒褐色ですが、皮を剥くと白色です。

昔から胃腸の調子を整え、代謝を高める効果があると言われ、薬膳としても利用されてきました。

エンバク(Avena sativa)

エンバクを漢字では燕麦と言います。「ハトムギを鳩が食べるからなのだからエンバクはツバメが食べていたから?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。実はツバメが飛んでいる姿に似ているからこの名が付きました。このエンバクはカラスムギが栽培用に改良されたものです。このカラスムギという名はハトムギと同様に「カラスが食べていた麦」から付けられました。

エンバクはロシアやカナダなど夏涼しい地域で多く作られています。(ソルガムが穀物の中で5番目に多く作られているとお話ししましたが)エンバクはその次、6番目に多く作られている穀物です。栄養が豊富なのが特徴で、皮を剥いだ後、押し潰してオートミールのフレークにされることが多いです。

擬穀

ここからはイネ科・豆類以外の雑穀をご紹介します。

ソバ

ソバと言えば日本人は麺類の「日本蕎麦」を思い浮かべ、「日本の穀物」と思う方も多いでしょう。実はソバの実はヨーロッパでも育てられ、食べられています

パスタの種類の記事でもソバを使ったピッツォッケリをご紹介しました。また、フランスの(クレープの元とも言われる)ガレットの生地。スロベニアでは(塩味が利いたポカチャという名の)パンにしたり、ソバの実をキノコと炒めたり。さらには蕎麦粉を衣に使い魚を焼くこともあります。

ちょっとブレイク~日本以上の蕎麦文化国スロベニア

日本よりソバを使った料理が豊富なスロベニアには蕎麦文化が栄えた元となる言い伝えがあります。

昔、アラブの地域に人口が増えすぎ、この地を去らねばならなかった人たちに、神様がソバの種を与えました。その種が育ったのがスロベニアだったというのです。

この言い伝えが元となったのか、スロベニアにはソバを大切なものとする文化があります。

  • スロベニアのある地域の紋章にはソバの実から皮を取り除く脱穀機が描かれている。
  • スロベニアに昔から伝わる歌にも「ソバの花が咲く」という歌詞が入っている。
  • 女性の伝統的な名前として現地でソバを表す「アイダ」が使われている。

など、昔からスロベニアでは大切な穀物としてソバが根付いていました。

キヌア

初めて耳にした人も多いと思われる「キヌア」はタンパク質、ミネラル、糖質、食物繊維が豊富な雑穀です。スーパーフードとも言われ、飢餓、貧困、栄養失調を救うことができる雑穀です。また、宇宙食にも使われています。

紀元前3000年頃にはすでに栽培が始まっていました。インカ時代以前のアンデス地方ではジャガイモと同様に主要な食物で、インカ帝国では「穀物の母」とも呼ばれていました。

ほうれん草と同じアカザ科の植物で大きさ直径約2ミリの種、少し黄土色がかっています。

アマランサス

鮮やかな紅色の花を咲かすアマランサス、江戸時代には花が観賞用にもされていました。こちらもキヌアと同様栄養が豊富でスーパーグレイ(驚異の穀物)「栄養の宝庫」と言われています。種の色はキヌアより少し濃いです。皮が柔らかく、脱穀せずに(全粒で)食べることができます。

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皮ごと食べることで感じられるプチプチした食感が私は好きです。

最後に

今回は様々な雑穀についてご紹介しました。日本人になじみのソバ、スロベニアには深い文化があることなど驚かれた事でしょう。

日本での雑穀は昔、救荒作物(きゅうこうさくもつ・凶作時に作る作物)として栽培される代用品でした。そんな雑穀は現在その栄養価に注目を浴びています。皮肉なものです。

今回は豆類を表す「菽穀」はご紹介しませんでしたが最後に1つだけ豆類の雑穀を紹介します。それは皆さんご存知「ピーナッツ」です。「ピーナッツって豆類じゃなくてナッツ類じゃないの?」と思う方も多いでしょう。実はピーナッツは豆類なのです。

ピーナッツを英語では「Peanut」と書きます。Peaは豆という意味なので「マメ科のナッツ」という意味です。ちなみに日本では落花生とも言いますが花が咲いた後、地中に茎を下ろして実を付けるからです。落花生も雑穀だけあってご飯と一緒に炊くこともあります。

ぜひ明日は(落花生を含めた)雑穀を使ったご飯を炊いてみてください。

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