みなさんにとって「ナッツ」と聞いて一番に浮かぶのが「ピーナッツ」ではないかと思います。実はピーナッツはナッツではありません。名前に「ナッツ」とついているのにどういうこと?と思う方もいるのではないでしょうか?「雑穀の種類」の雑学でも書きましたが豆類なのです。ピーナッツを英語にするとPea・nut。このPeaは豆(特に大豆)という意味で豆類のナッツです。
実は、豆類はナッツに入りません。今回はナッツについての雑学をご紹介します。ナッツとは何かというところから始まり、今回は9種類のナッツを厳選してご紹介します。皆さん聞いたことや食べたことがあるナッツそれぞれについて、誰かに話したくなる雑学をまとめました。
ぜひナッツをつまみながらお読みください。
目次
ナッツとは~ナッツの定義
ナッツとは「堅果種子類」や「種実類」を表します。読んで字の如く、字からもわかるように「堅い種や実」のことです。このナッツの中には穀物や豆類、またゴマなどの小さな実は含みません。だから穀物や豆類など以外の食べられる種や実が「ナッツ」です。
ピーナッツがナッツ類に入らないのは豆類だからなのです。豆類は雑穀です。
ナッツの種類
それではここからよく食べられている厳選した9種類のナッツについて紹介していきます。
アーモンド
現在ではヨーロッパ南部地方、アメリカ(特にカルフォルニア州)、オーストラリアなどで栽培されていますが、原産地はアジア西南部です。
日本では鹿児島県湧水町、香川県の小豆島、山形県朝日町などで作られています。
バラ科サクラ属で桃、梅、杏子に近い植物です。果肉は薄いので食べるところがほとんどないですが、種の殻を割った中身「仁(じん)」がアーモンドとして食べられています。
梅干しの種を割った中身を食べたことがある方、そこがアーモンドでいうところの食べる場所(仁)に当たります。「天神様」とも呼ばれる梅干しの仁にも茶色の薄皮がありアーモンドに似ていますよね。
また1月23日はカルフォルニア・アーモンド協会が制定したアーモンドの日です。成人女性1人が1日に摂取する目安が23粒と言われ、そこから付けられました。これは「美容に欠かせないビタミンE8.6mg摂るためにはアーモンド23粒必要」という意味からの摂取量です。
そういえば私の父は雑誌で「健康にいい」と読み、アーモンド飲料を毎日飲んでいます。
カシューナッツ
カシューナッツは西インド諸島や南アメリカの北部原産。ウルシ科の植物です。「ウルシ科」と聞くと、「かぶれるのではないか」と思いますよね?そうです。可能性があります。アレルギー体質の方は皮膚のかゆみや唇がかぶれることがあるので注意が必要です。
ウルシ科と言えばピスタチオや南国の高級フルーツマンゴーも同じ仲間です。
現在、主にインド、ブラジル、タンザニア、モザンビークなどで作られています。しかしブラジル・タンザニア・モザンビークなどで作られたカシューナッツは現地で殻から取り出されることなくインドへ輸出。インドで殻剥きをされます。
ピーマン型の黄色や赤色の実の中にある種がカシューナッツで、果肉は「カシューアップル」と言います。カシューナッツは中華料理などに加えたりしますよね。カシューアップルはジャム、ジュース、ペースト状のチャツネやピュレ、さらにインドでは果実酒にもされます。
クルミ
クルミはイラン原産。最も古くから人が食べていたナッツと言われ、紀元前7000年頃から食べられていました。
イラン原産のクルミはまず、ヨーロッパへ「ペルシャグルミ」として伝わります。その後がヨーロッパから中国、朝鮮を経て日本へは(ペルシャグルミの変種)テウチグルミとなって入ってきたと言われています。
現在日本でもクルミと言えばペルシャグルミが一般的です。しかし日本で最も多く生産されているクルミはペルシャグルミの変種「信濃クルミ」で、長野県で開発されました。また、日本にも在来種のヒメグルミや日本各地に自生する「オニグルミ」といったクルミがあります。
クルミも(ご存じの通り)外の殻を割った内側(仁)を食用とします。クルミを割る道具は昔からあり、チャイコフスキーが曲名にもなった「くるみ割り人形」といったインテリアにもなるものもあります。また、テウチグルミは「道具を使わず手で割って食べられる」ことからこの名が付けられました。
ピスタチオ
カシューナッツのところでもお伝えしましたがピスタチオもウルシ科の植物です。原産地はアフガニスタンからイランにかけての中央アジアです。なんと聖書に「この地方の選りすぐりの特産品」の1つにピスタチオが記されています。現在でもイランで最も多く生産され、次いでアメリカ、中国、トルコと続きます。
ピスタチオはその栄養価の高さから「ナッツの女王」と言われたり、殻が割れた状態が笑った顔にも見えるので「ハッピーナッツ」と呼ばれたりもします。また、近年緑色のアイスクリームで人気なピスタチオ。この緑色を「ピスタチオグリーン」と言います。
マカダミアナッツ
マカダミアナッツというとハワイのお土産で有名なチョコレートを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?原産地はハワイではなく、オーストラリアです。「マカダミア」「マカデミア」や、ハワイなどでは「マカデイミア」と呼ばれます。
この「マカダミア」という名前はドイツ出身のオーストラリアの植物学者が、友人であるスコットランド出身のオーストラリア化学者の名前から付けました。
もともとはオーストリアの原住民アボリジニによって好んで食べられていたマカダミアナッツ。1892年にハワイ王国で栽培されるようになりました。原種のナッツは脂肪分が少なく甘味がなかったのですが、ハワイ大学での品種改良により現在のような味となりました。
その後ハワイではマカダミアナッツ農園の免税が行われます。パイナップル、コーヒー、サトウキビを抜いた作付け面積1位の作物となり、ハワイを代表する作物となりました。
ピカンナッツ
クルミ科の植物でペカン、ピーカンなどとも言われます。またこのナッツには脂肪分が多く含まれる(72%、マカダミアナッツとほぼ同等、クルミ約60%、ピーナッツ約57%)ので「バターの木」とも言われます。
北アメリカ中西部のミシシッピー川流域からメキシコ東部が原産で、主要産地はオクラホマ州です。日本には大正時代に入ってきて、1979年に生産量は多くないものの山梨、長野、静岡、徳島、香川、福岡の各県で作られていたといいます。
9~10月頃果実(長さ4cmくらいの楕円)の成熟とともに果肉が裂け、種子が落ちます。この種子は殻に包まれていますが、手で簡単に割れ、中の胚乳の部分がナッツです。
見た目はクルミに似ているものの柔らかく、クルミのような渋みが少ないまろやかな味をしています。
ヘーゼルナッツ
カバノキ科のヘーゼルナッツはブナ科のドングリに似ていた形をしています。でもドングリ大きいのが特徴です。トルコが原産で、今でも世界一の生産量を占めています。
独特の風味を持ち、コーヒーやラテなどのフレーバー、お菓子にも使われます。また、ペースト状にした後、キャラメリゼした「プラリネ」にもされます。
ちょっとブレイク~ドングリころころ
ヘーゼルナッツに似た形をするドングリ、食べられることを知っていますか?リスがほっぺたいっぱいにドングリなどを詰め込んだ姿をテレビなどで見たことがあると思いますが、実は人間も食べることができます。
ドングリと言ってもいろんな種類があり、渋みの成分「タンニン」が多いのがネック。その中でシイ類、特にスダジイ比較的食べやすいドングリです。
- まず水に浸けて洗います。洗いながらゴミや虫が食ったものは浮いてくるので除きます。
- あとは茹でたり、水気を取り、フライパンで殻にひびが入るまで炒ったり。また封筒などに入れ、電子レンジで加熱するといった方法でも大丈夫です。
- 食べる時は殻を割り、中身を食べます。お好みで塩を振っていただきます。
ブラジルナッツ
皆さん聞きなじみのないかと思われるブラジルナッツ。ブラジルをはじめペルー、ボリビア、エクアドルなどアマゾン川周辺地域のみでとられます。なんと木の高さは40~50mもあり、樹齢500年以上の木から収穫されています。
雨期である11~3月、堅い木質のグレープフルーツ大の実が入った「ポッド」が成熟して落ちてきます。
「「チョコレートとココアの違い」で紹介したカカオの実もポッドに入っていますよね。」
落ちたポッドを収穫。ポッドの中には長さ4~5cmの三角錐の実が10~20個くらい入っていて放射状に詰まっています。これを脱穀しブラジルナッツとなります。ナッツ1粒の大きさはマカダミアナッツの約2倍。糖質はマカダミアナッツとほぼ同じくらい(7割)含んでいます。
ブラジルナッツにはセレンなども含まれており、中毒を引き起こす可能性もあります。1日に2粒程度までにするようメーカーは言っています。
ちょっとブレイク・ココナッツはナッツ?
ココナッツはその他多くのナッツのようなカリッとした食感がないイメージですよね。でもココナッツもなんと種実類でありナッツ類に当たります。
皆さんココナッツというと胚乳を絞ったココナッツミルクを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?これ以外にも胚乳を乾燥させ粉末や細切りにしたデシケートココナッツというものもあります。こちらはパンやお菓子作りなどに使われます。
最後に・リスが作るエビフライ
いかがでしたでしょうか?今回いろんな種類のナッツについてご紹介しました。今回は紹介できなかったのですが(ハムスターの餌にも入っているような)ヒマワリの種や松の実などもナッツです。
ふつう食べる松の実は朝鮮半島の「五葉松」の実で、松ぼっくりの鱗片奥についている胚乳の部分なのです。もちろん日本のアカマツやクロマツといった品種にも小さいですが松の実はできます。この(日本の)松の実を食べる野生動物がいます。それはリスです。
リスは松の実を食べるために松ぼっくりの鱗片を剝がし、中の実だけを食べます。そして実を食べた残りが「エビフライ」と言われます。なんとこの形が衣の付いた小さなエビフライそっくりだからです。松林に行かれた時は下を探してみてください。
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