ゴジラは1957(昭和29)年の第1作から約70年近く続いている怪獣映画です。これだけ長い期間シリーズが続くと作品ごとに世界観が違うので、ゴジラの立ち位置も変わります。しかし変わらない共通点があり、
- 核
- 海底から登場する
- 人類文化を破壊する
以上3点は、どのシリーズも同じです。なぜこの3点だけは長いシリーズのなかでも変わらないのでしょう?それは、人類の欲望・本性こそ本当に恐れるべき存在だというメッセージがあるからです。特にシン・ゴジラは人類の欲望・本性をもっとも正確に表現した作品だと言えます。
この記事では、なぜゴジラの形態が終盤に向けて変化するのか。ラストシーンで見せたゴジラの尻尾について、どのような意味があるのかについて説明します。
目次
シン・ゴジラのあらすじ

ネタバレになるので、シン・ゴジラのあらすじを簡単に説明します。東京湾沖で原因不明の水蒸気爆発が発生。その後、謎の巨大生物が東京に向けて進行するが、自衛隊などが撃破に成功。だが実際には撃破しておらず、形態を変化したゴジラが再び東京に向かってくる。
何度か撃破するが、形態を変化しては東京を襲撃。この時人類はまだ気が付いていなかったが、この形態変化にはある秘密が隠されている。
ラストシーンで現れた尻尾の謎

物語終盤にゴジラを凍結した「ヤシオリ作戦」ですが、その時のゴジラは第4形態です。しかしラストシーンにてゴジラの尻尾が、明らかに第4形態とは違うことで話題となります。
活動停止してもなお、新しい形態が産まれようとしている
物語はここで終わってしまったのでこれ以上は憶測となりますが、実はゴジラは第5形態へ成長中だったのではと言われます。
設定資料には未登場の形態がいくつかある
作中で登場したゴジラは第4形態まで。しかし設定資料には、ゴジラは第8形態までの案があったと言われております。
ラストシーンに登場する尻尾にある複数の人類に似た何かについて、複数の人間形態をしたゴジラだと言われます。
ゴジラだけでなく、人類の本質も突いた作品

架空の時代設定とはいえ、ゴジラに立ち向かう人の本質もスポットに充てているのが当作品の特徴です。
国民を見捨てて逃亡しようとした指導者
ゴジラに襲撃され、なすすべもなく逃げ回る人類。そもそもなぜゴジラが東京湾から現れたのか?個人的な遺恨もありますが、その理由の一つとして国の責任放棄があります。
似たような状況が、2020年頃に発生したコロナウィルス騒動。シン・ゴジラの設定資料も、このことをモチーフにして人間の本性を作品に取り入れたと書かれております。
姿(形態)が変わるゴジラ

今回のシン・ゴジラは登場からラストシーンまで4回姿を変化しております。このゴジラの姿が変化するのが今作品の特徴です。
形態が変わる理由とは
明確な答えはありませんが、ゴジラの進化がキーワードに入っているようです。人間が進化するのと同じように、ゴジラも進化を続けているという表現だと言われます。作中ではヤシオリ作戦の成功により尻尾の変化が途中で止まりました。
しかし設定資料で尻尾から無数のゴジラが誕生すると書かれているので、一歩間違えれば人類の滅亡確定だったと言えます。
設定案では4形態だが
作中では4形態の変化を見せたゴジラですが、それ以上の形態が残されていたと言われます。
- 東京湾で見られた長い尻尾と背中のみ確認
- 爬虫類と爬虫類が合わさった形態
- 爬虫類と爬虫類が合わさっているものの、動きはトカゲのような4歩足で動きをする
- 今までのゴジラシリーズでみられる2歩足で歩く恐竜の形態
- ラストシーンに登場した形態。ゴジラの尻尾部分から複数の人の影らしきものが生えてくる
- 人型の形態。そして群体という今までにない複数のゴジラ。※作中未登場
- 宇宙へ上がる形態。※作中未登場
- 神の形態。※作中未登場
シン・ゴジラ監督の庵野秀明(あんの ひであき)は過去に「エヴァンゲリオン」や「ふしぎの海のナディア」、「トップをねらえ」を世に送り出した監督。これら3作品に共通するキーワードとして、
- 生命の誕生
- 宇宙
- 神
で、シン・ゴジラもこのキーワードに沿った形態案があったとしても不思議ではないと言われます。
作中で4形態目に凍結できたのは運がよかったです。とはいえ、まだ凍結なので復活の可能性も残されております。
まとめ
ゴジラシリーズのなかでもストーリーが進むにつれて、形態が変化するのは今作品が初。なぜストーリーが進むにつれて形態が変化したのでしょうか。それは監督が今作品に込められたテーマ「進化」があるからです。タイトル名のシン・ゴジラのシンとは「新しい」「真実」そして「進化」のシンを示していると言われます。
どの「シン」なのかは見る人によって違います。良い意味の「シン」になるには、これからの行動次第なのではないでしょうか。