6月10日は路面電車の日。これは1995年広島市で開かれた第2回路面電車サミットにて制定された記念日です。
現在、地下鉄などの整備により、路面電車を運行している市町村が減少しています。現在路面電車が運行している主な県は、
- (北海道)札幌市電
- (栃木県)宇都宮LRT
- (富山県)万葉線
- (愛知県)豊橋鉄道
- (大阪府)阪堺電車
- (岡山県)岡電
- (広島県)広電
以上です。
見かける機会が減った路面電車。交通ルールを知らないドライバーいるのではないのでしょうか。
路面電車の追い越しは左側。路面電車の線路は基本的に道路の中心なので、右側から追い越すのは反対車線に入り非常に危険な行為です。
この記事では路面電車独自の交通ルールと注意点について説明します。
目次
路面電車の追い越しルールとは
道路交通法にて、路面電車の追い越しは一般自動車の追い越し方法と違い、路面電車独自のルールがあります。
自動車を追い越す場合
自動車の場合、前の車を追い越すときは右側です。左側からの追い越しは、前の車が左折した場合に左後方に死角ができ、事故につながるため大変危険な行為です。
路面電車を追い越す場合は左側が原則
路面電車では、追い越しは左側が原則。理由は、路面電車が走る軌道(レール)が道路の中心に位置しているケースが多いため。
右側から追い越すと必然的に反対車線に飛びだすので大変危険なので、路面電車の場合、左側から追い越します。
例外があり、路面電車の軌道(レール)が道路の左側に設けられている場合です。左側にスペースがないので追い越しは不可能。
そのため例外的に右側から追い越すことが認められております。
最近では都市開発の整備にて、電車の軌道と車道が分離している地域が増えました。
追い越し時の注意点
路面電車は自動車と違い、急停車・急ハンドルができません。そのため無理な追い越しや進路変更は事故に直結する危険な行為です。
次に路面電車の追い越しについて注意点を紹介します。
路面電車が併走する道路では後方確認を
ケースとして、軌道敷内で右折待ちをして後ろから電車と衝突するパターン。後方から近づく電車に気づかず、急に進路変更をしたことが原因の事故も少なくありません。
路面電車が並走する道路では、いつも以上に後方確認を怠らないよう注意が必要です。
安全地帯とは
安全地帯とは、路面電車を利用する人が乗り降りするための区画です。道路交通法では、安全地帯について次のように記載されております。
- 車両は安全地帯に侵入してはいけない
- 歩行者がいる安全地帯の側を通る時は、徐行する
- 安全地帯の左側と、その前後10m以内は駐停車禁止
特に区画整備されていない道路を走る地域の場合、安全地帯が道路上にペイントされているだけです。
知らずに安全地帯上を走行するドライバーや、近くに駐停車するドライバーもいます。
普段、路面電車が走らない地域のドライバーだと、無意識に違反する可能性があります。
路面電車の減少により安全地帯を知らないドライバーが増えたので、無意識に違反しないよう注意が必要です。
線路を跨いでも大丈夫?
最近は道路整備により路面電車が走る道路は安全になりましたが、まだ整備されていない場所も残っております。
右折レーンが整備されていない交差点の場合、右折をする時などやむを得ない場合は通行することが可能です。
道路交通法第21条3項には、
軌道敷内を通行する車両は後方から路面電車が接近してきたときは、当該路面電車の正常な運行に支障を及ぼさないように、すみやかに軌道敷外に出るか又は当該路面電車から必要な距離を保つようにしなければならない。
と記載されています。線路内を通行するのは認めるが、路面電車が接近したら速やかに軌道から出て、運行に支障を及ぼさない義務があります。
軌道内はあくまで路面電車が優先で、運行に支障がないのなら軌道内の走行も可能です。
安全地帯の乗降も含む
先ほどの道路交通法代21条3項には「当該路面電車から必要な距離を保つようにしなければならない」と明記してあります。
この必要な安全な距離を保つとは、安全地帯の乗降も利用客や路面電車の安全確保も対象です。
道路整備が進んだ地区では、安全地帯と車道はフェンスで区切られホームも嵩上げ(あさあげ)されております。
こうした地域はごく一部で、いまだに危険な安全帯の地区が多いのが現状。乗降客の急な飛び出しによる事故も過去にはあります。
乗降客の急な飛び出しといった予測不能な事態に対処できるよう、注意が必要です。
まとめ
かつて路面電車は全国各地で走っておりました。しかし地下鉄の整備や自動車主体の社会に変化したことで、路面電車を見かける機会は少ないです。
廃線が進む路面電車ですが、(栃木県宇都宮市の宇都宮LRTのように新規開業する路線もあります。
CO2を排出しない、専用路線を走行するのでバスと違いダイヤ乱れが少ないなどメリットがある路面電車。
数が少なくなりましたが、今一度、路面電車のメリットを見直してみるのはいかがでしょう?