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百人一首の好きな歌はありますか?人気の和歌を好きな理由と共に紹介!

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あなたは学校や家で百人一首かるたを遊んだことはありますか?百人一首には名の通り百人が詠んだ和歌が収められています。では、あなたは百人一首の中で好きな歌はあるでしょうか?この記事では、百人一首の中でも人気のある歌を現代語訳と好きな理由を添えて10首紹介するので、ぜひご覧ください。

この記事を読むと、百人一首の世界観と長きにわたり愛される理由が分かるでしょう。記事を通じて百人一首に興味を持ったら、ぜひ残りの90首についても目を配る事をおすすめします。季節、風習、恋愛など様々なジャンルの歌があるので、きっとお気に入りの歌がみつかることでしょう。

春過ぎて夏来にけらし白妙の衣干すてふ天の香具山

2番歌 持統天皇(じとうてんのう)
「春が過ぎて夏が来たようですね。夏になると白い衣を干すという天の香具山に真っ白な衣が干されているから。」

この歌が好きな理由を以下に挙げます。
気温や暦ではなく、観た景色で季節を感じる様子が美しい。
・季節を人々の生活になぞらえていて詠み手の優しさを感じられる。

はち

当時の風習が季節に織り込まれて表現されているのが特徴ですね。

奥山にもみぢふみわけなく鹿の声聞く時ぞ秋はかなしき

5番歌 猿丸太夫(さるまるだゆう)
「奥深い山で、紅葉を踏み分けながら、妻を慕って鳴く雄鹿の声を聞くと、秋はより悲しいものだと感じられる。」

この歌が好きな理由を以下に挙げます。
・紅葉を踏み分ける、つまり秋の終わりであることが鮮やかに詠まれていて美しい。
雄鹿の声を悲しいものととらえ、情景と心情を描き出しているところが素敵だと感じる。

はち

この歌は、写実的な表現に感情が乗せられていて、情景が思い浮かびます。

花の色は移りにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに

9番歌 小野小町(おののこまち)
「春の桜の花の色は、すっかり色あせてしまった。そして私の美しさも衰えてしまった。長く降り続く雨に、むなしく眺めている間に。」

この歌が好きな理由を以下に挙げます。
・ながめを「眺める」「長雨」とする発想が素晴らしい。
女性歌人らしい情景と心情の表現力の豊かさに感動する。

はち

百人一首を代表する有名な歌です。

陸奥のしのぶもぢずりたれゆゑに乱れそめにしわれならなくに

14番歌 河原左大臣(かわらのさだいじん)
「陸奥のしのぶもじずりの乱れ模様のように、誰のせいで私の心が乱れ始めたのか、他ならぬ貴方の為なのですよ。」

この歌が好きな理由を以下に挙げます。
・しのばざるを得ない恋愛感情が、複雑な表現で描き出されていてとても美しい。
恋によって心が乱れることに戸惑うような情景が思い浮かぶ面白い歌だと思う。

はち

しのぶもじずりは、福島県信夫(しのぶ)地方産の乱れ模様の服のことです。

ちはやぶる神代も聞かず竜田川からくれなゐに水くくるとは

17番歌 在原業平朝臣(ありわらのなりひらあそん)
「不思議なことの多い神代でも聞いたことがない。竜田川が唐紅色に水をくくり染めにしているなんて。」

この歌が好きな理由を以下に挙げます。
竜田川を実際に見たことはないけれど、想像もつかない美しい紅葉の風景だと感じされられ、歌の表現に引き込まれる。
・竜田川に紅葉した葉が流れている様子を想像させられる美しい歌だ。

はち

競技かるたを題材にした漫画『ちはやふる』のタイトルに採用されています。

わびぬれば今はたおなじ難波なるみをつくしても逢はむとぞ思ふ

20番歌 元良親王(もとよししんのう)
「行きづまったのだから、今となっては同じことだ。難波にある澪標ではないが、身を滅ぼしても会おうと思う。」

この歌が好きな理由を以下に挙げます。
・「みをつくしても」を澪標と身を尽くしてもの掛詞にすることに表現の豊かさを感じる。
行き詰った恋路に身を滅ぼす覚悟で飛び込む強い恋心を感じさせる。

はち

この歌は許されざる不義の恋を歌っているとされます。

しのぶれど色にいでにけりわが恋は物や思ふと人のとふまで

40番歌 平兼盛(たいらのかねもり)
「心に秘めてきたが、顔や表情に出てしまっていたようだなあ。私の恋は『恋の想いごとでもしているのですか?』と人に問われるほどになってしまった。」

この歌が好きな理由を以下に挙げます。
・顔に出てしまうほどの恋心を胸に秘めている姿が思い浮かび、印象に残る。
現代より恋愛が大っぴらにできない時代だからこそ生まれた歌だと思う。

はち

秘めた気持ちが抑えられない様子に思いの強さを感じます。

恋すてふわが名はまだき立ちにけり人知れずこそ思ひそめしか

41番歌 壬生忠見(みぶのただみ)
「恋をしていると私の噂が早くも立ってしまった。誰にも知られないように、恋はまだ始まったばかりなのに。」

この歌が好きな理由を以下に挙げます。
・恋愛は公にしないという当時の様子がよく分かる歌だ。
恋の噂が世間に広まりやすいのは、今も昔も同じだと興味深く感じた。

はち

恋が始まったばかりの初々しい感情が描かれています。

ほととぎす鳴きつる方をながむればただ有明の月ぞ残れる

81番歌 後徳大寺左大臣(ごとくだいじのさだいじん)
「ホトトギスが鳴いた方を眺めてみたら、ホトトギスの姿は見えず、ただ明け方の月が空に残っているだけだった。」

この歌が好きな理由を以下に挙げます。
・ホトトギスの鳴き声を聞くために夜明けを迎えている様子が趣深いと感じる。
下の句がシンプルかつ強烈な印象を残していて、歌全体の印象が引き締まっていると感じる。

はち

昔は、ホトトギスの鳴き声を聞くために夜を明かす風習がありました。

君がため惜しからざりし命さへながくもがなと思ひけるかな

50番歌 藤原義孝(ふじわらのよしたか)
「あなたのために捨てるのも惜しくないと思っていた命でさえ、結ばれた今となっては、できるだけ長くありたいと思うようになった。」

この歌が好きな理由を以下に挙げます。
恋が成就する前と後での心境の変化がストレートに表現されていて胸を打たれた。
・思ひけるかなという表現が強い心情を美しく表しているところが印象的。

はち

百人一首の中でも指折りの強烈なラブソングです。

さいごに

百人一首に触れてみてどのような印象を抱かれましたか?難しいと思っていた方にはより身近に感じられたのではないでしょうか?

元より百人一首に詳しい方にも、ぜひ好きな歌を選んでいただきたいです。好きな歌を選ぶことで、和歌の世界により深く親しみをもてるからです。例えば、持統天皇の歌を選ぶと、昔の人の季節に対する雅やかな感性を感じることができます。この記事が、とても美しい百人一首の世界への呼び水になれば幸いです。

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はち
趣味は音楽鑑賞、新聞に掲載されているパズルを解くこと。身近なものから専門的な雑学まで幅広く執筆。