1997年に公開されたジブリ作品であるもののけ姫。好きなジブリランキングでも3位にランクインした人気作品です。そんなもののけ姫ですが、アシタカはカヤから貰ったネックレスをサンに渡すなんて、ひどい男だ!という投稿がネット上で相次ぎました。そこでこの記事では、
- アシタカがカヤから貰ったネックレスをサンにあげた理由
- アシタカは本当にひどい男なのか
- アシタカとカヤの関係性は何なのか
ということを解説していきます。項目ごとに分かりやすくまとめたので、もののけ姫を詳しく分からない方でも読みやすい内容にしました。ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
アシタカはひどい男ではない!ネックレスを手放した理由
アシタカが村を出るときにカヤから貰ったネックレスをサンに渡したことで、アシタカはひどい男と言われています。しかし、これは大きな間違いです。その理由は、
- アシタカの強い決意があるから
- アシタカは村には帰れないから
- 玉の小刀には意味があるから
です。この理由を1つずつ見ていきましょう。
ネックレスというは、「玉の小刀」のことです。

画像引用:スタジオジブリ
アシタカの強い決意によるものだから
まず1つ目はアシタカの強い決意によるものです。アシタカがサンにネックレスを渡したことについて、「ジブリの教科書10 もののけ姫」には、「アシタカが自然と共生できないことと同時に、大切にしてきたものとの決別」という内容が書かれています。
すなわち、アシタカはサンにネックレスを渡すことで、カヤのいる自分の故郷と決別したことを表しているのです。
アシタカの故郷は物語の冒頭で出てくる「エミシの村」です。
アシタカは故郷の村には帰れないから
2つ目の理由は、アシタカは故郷に帰れないからです。なぜ、アシタカは故郷である村と決別し、村に帰れないのでしょうか。それは、物語の冒頭でアシタカは腕に人間を殺す呪いを貰ったからです。そのため、アシタカは村に帰らない覚悟を決めました。
呪いを貰った夜、アシタカが自分の髪の毛を切って、村から去るシーン。まさにこれが故郷との決別を意味しています。自分の髪の毛を遺髪として残し、自分の故郷とカヤを守るための決意というわけです。
玉(ぎょく)の小刀には意味があるから
3つ目の理由は玉の小刀に意味があるからです。この玉の小刀がネックレスとしてもののけ姫では登場します。この玉の小刀には
- 乙女が心変わらぬ証に異性へ贈るもの
- 離れていてもあなたの幸せを願っている
という意味があります。すなわち
- カヤは女性なので、変わらぬ愛をアシタカに贈った
- アシタカは男性なので、山犬として生きるサンを認め、離れても共に生きると誓った
ということです。カヤ自身もアシタカにはもう会えないことを悟っていますし、アシタカも自分の力ではサンを人間界に戻すことは出来ないと悟りました。
アシタカ自身も苦渋の決断であり、正義感の強さから、サンに玉の小刀を贈ったというわけです。
玉の小刀とは、黒曜石で出来たナイフのことです。ガラスのようにキレイで縄文時代には貴重な石器として重宝されました。
アシタカがひどい男と言われるのはカヤとの関係にあった?
もののけ姫をここまで深く読み解かないと、カヤから貰ったネックレスを他の女にあげるなんてアシタカは最低!という気持ちになりますよね。実は決して下心ではなく、アシタカの正義感によるものでした。それでは、なぜここまでアシタカがひどいと言われるのか、その理由について詳しく見ていきましょう。

画像引用:スタジオジブリ
アシタカとカヤは許嫁の関係
アシタカがひどいと言われる理由として、カヤとの関係性にあります。アシタカとカヤは許嫁の関係。いわば夫婦です。物語の中では、カヤはアシタカのことを「兄様(あにさま)」と呼びますが、兄妹というわけではありません。兄様と呼ぶ理由は、アシタカが暮らす村では、一族の中で年長の男性を「兄様」と呼ぶ習慣があるからです。
アシタカが村を出る際、カヤは玉の小刀を持って「お守りするよう息を吹き込みました。いつもいつもカヤは兄様を思います」と言って見送ります。
だからこそ、アシタカは自分の奥さんから貰ったネックレスを他の女にあげるなんて、という投稿がSNSでも話題になりましたが、決してそういうわけではありません。
アシタカ、カヤ、サンにはそれぞれ覚悟がある
ここまで読み解くと、アシタカ、カヤ、サン、それぞれに大きな覚悟があることが分かってきます。
- アシタカは自分が受けた呪いで故郷やカヤを失いたくない
- カヤは村を去るアシタカを見送ることしかできない
- サンはアシタカの想いを受け取るも人間を許したくない
それぞれに強い覚悟、決意があるから、そこに下心などは全く存在していません。みんな辛い過去、辛い心境を抱えながら生き抜くのが、もののけ姫のメッセージでもあります。
もののけ姫の登場人物には、描かれていない辛い過去をもっている人がたくさんいます。
まとめ
この記事では、カヤから貰ったネックレスをサンにあげたアシタカはひどい男なのかということを解説してきました。具体的には
- アシタカは故郷と決別して、自分が受けた呪いから故郷とカヤを守ろうと決意した
- カヤから貰った玉の小刀には「離れていてもあなたを想う」という意味がある
- アシタカ、カヤ、サン、それぞれに強い覚悟があり下心は全くない
ということでした。確かにアシタカはカヤから貰ったネックレスをサンにあげました。しかし、カヤの気持ちを無駄にしたわけではありません。アシタカは絶対に嘘をつかない優しく正義感の強い男性です。だからこそ、下心でサンにネックレスを渡したとは思えません。
アシタカがカヤに伝えた「いつもカヤ思おう」という言葉が真実ではないでしょうか。
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