魚にまつわる漢字を、いくつか思い浮かべてください。その中で一番難しいと思う漢字は何ですか?この記事では、魚にまつわる様々な漢字の中から、読むのが難しい漢字(難読漢字)を13個紹介します。難易度を初級、中級、上級と三段階に分けているので、どこまで読めるのか、ご自身のチャレンジも兼ねて読んでもらえれば幸いです。
「なぜこんな漢字になったんだろう?」と興味を抱いてもらえるように、漢字には由来や起源、エピソードをつけて紹介しています。それぞれの単語にはユニークな由来があります。ぜひエピソードも楽しんで読んでください。
「どこかで見たことがある!」「これは読める!」と楽しんでください。そして、登場する漢字をマスターして、友人やご家族に披露してください。
目次
魚に難読漢字が多い理由

魚に難読漢字が多い理由は、「見た目や季節などの魚の特徴について当て字を使用していること」に尽きると言えます。一般的な単語は、部首やつくりから読み方を推測できることが多いです。
しかし、魚にまつわる漢字では、読み方を推測できないことが多いです。例えば「鰯(いわし)」は、すぐに鮮度が落ちるため「弱い」という漢字が当てられています。漢字といわしという読み方とは全く関係がありません。鰯のように、魚にまつわる漢字は特徴を当て字にすることが多いです。結果、魚にまつわる漢字は難読漢字になります。
魚の難読漢字:初級編

鯰:ナマズ
「鯰」という漢字は、ナマズは鱗(うろこ)が無く、ぬめりや粘りがあることが由来です。粘りがあるという特徴から、粘りの意味を持つ「念」が漢字のつくりにつけられたと言う説があります。
河豚:フグ
河の豚と書いて海にいるのに河だと違和感がありますよね。実は、中国ではフグは河に生息して、釣り上げると豚に似た鳴き声を発していたことから、河豚となりました。
鰤:ブリ
鰤と書く理由は2つあります。
- 師走に脂が乗り美味しくなること
- 「師」には「歳をとった」という意味があること
ブリは出世魚のため、大きく成長した=歳をとったと関連付けたようです。
鮟鱇:アンコウ
アンコウは、つくりの音読みなので、比較的読みやすい魚の漢字と言えます。漢字の意味、由来については、単なる当て字であるという説が有力です。一方で「安」には地面を這うという意味があり、アンコウの生態を表す、とする説もあります。
魛:タチウオ
タチウオと言えば、太刀魚と書いた方が読みやすく、一般的に普及しています。しかし、魛と一文字で書くことができるのです。どちらも、漢字の成り立ちはタチウオの見た目が細身で長身であり、太刀に似ていることによります。
実物を見ると、確かに太刀と言える細さ、長さです
魚の難読漢字:中級編

鱸:スズキ
スズキを漢字で書くと、つくりは「盧(ロ)」が当てられます。なぜ盧が当てられたかというと、2つの説があります。
- スズキは鱗が黒いため「黒い」を意味する盧を当てた。
- スズキはえらの並びが特徴的なので 「並び」を意味する盧を当てた。
隈魚または隈之実:クマノミ
クマノミは2種類の漢字がありますが、隈之実が使われることが多いです。クマノミを表す漢字の由来は、名前の由来でもあり「歌舞伎の隈取り」と小さな魚を表す「実」が当てられたと言われています。「隈取りをした小さい魚」という意味です。
映画で人気になったカクレクマノミは隠隈之実と書きます
柳葉魚:シシャモ
シシャモは、語源、漢字ともにアイヌが起源です。アイヌ語の「susuham(シュシュハム)」が変化してシシャモと呼ぶようになりました。漢字の「柳葉魚」はアイヌの神話が元になっています。人々が飢えに苦しむのを憐れんだ神様が、柳の葉を魚に変えて与えたという話です。
介党鱈:スケトウダラ
スケトウダラの漢字は当て字です。もともとスケトウダラは鮮度が落ちるのが早い魚です。そこで「介(貝:取るに足らないの意)」を当てて「取るに足らぬマダラの郎党(仲間)」として介党鱈という当て字になったと言われています。
スケトウダラは現在、白子だったり、卵巣で明太子を作ったり、練り物に利用したりと食卓に上がる機会が多いです
魚の難読漢字:上級編

魚虎:ハリセンボン
ハリセンボンの漢字は、ハリセンボンの見た目と攻撃的な姿を虎に例えたものです。ハリセンボンは名の通り、全身に針状のトゲを持っています。ハリセンボンは身の危険を感じるとトゲを逆立てて激しく抵抗します。その姿は虎のようであるということで、虎魚と書くようになりました。
狆穴子:チンアナゴ
チンアナゴは、アナゴの仲間です。そして、正面から見た顔が、「狆(ちん)」という犬種の顔に似ているため、チンアナゴという名称になりました。漢字も、そのまま狆をつけて狆穴子となっています。
翻車魚:マンボウ
マンボウの漢字表記は、以下のように多岐にわたります。
・翻車魚
・曼波魚
・浮木
・円魚
・満方
・満方魚
・円坊鮫
代表的な「翻車魚」は、中国由来の漢字です。中国語では「翻車」とは以下の意味を持ちます。
- 水をくみ上げる水車
- ひっくり返った車輪
「翻車」を以下の理由でマンボウの見た目と結びつけ、マンボウを「翻車魚」と書くようになりました。
- マンボウの見た目が「水車」と似ている
- マンボウの背びれを車軸にすると、マンボウは「ひっくり返った車輪」のようである。
漢字の由来を知ると漢字でもイメージしやすい魚です
鋸刺鮭:ピラニア
ピラニアはアマゾンに生息する肉食魚です。歯が鋭く 鋸(のこぎり)状である事から鋸刺鮭
という漢字が当てられました。「鋸刺鮭」は日本でも稀に見かけますが、主に中国で使われる表現で、日本ではピラニアと言うのが一般的です。
ノコギリと刺すという字面だけ見ても恐ろしい魚だと感じます
さいごに
様々な魚を漢字で紹介しました。魚の難読漢字に興味を持ってもらえたでしょうか?魚にまつわる難読漢字はまだまだたくさんあります。話の種にもなりやすいので、由来やエピソードと合わせて覚えておくのがおすすめです。
当て字の表現も多種多様で面白いものが多いです。ぜひ、ご家族やご友人に「シシャモは漢字でどう書くか知ってる?」とクイズを出題してみてはいかがでしょうか?