こんにちは!福祉コラム担当のもち猫です!
今回は、ADHD(注意欠陥・多動性障害)・ASD(自閉症スペクトラム)、LD(学習障害)等の発達障害がある為、「集中して仕事ができない!」という方に紹介したい方法を書いていきます!
発達障害の方は音・光等に対して敏感な傾向にありますが、「聴覚・視覚」の過敏さ故に苦手な刺激や、「色々な事に気が散って仕事にならない(ADHDの特性)」によって苦手な刺激や環境は違ってくると思います。そこで、今回はそのタイプ別にできる対策を書いていきます!
目次
感覚過敏当事者が集中して仕事をするには?~聴覚編~
聴覚編
「聴覚過敏」とは、例えば周囲の音が我慢できないくらい大きく聞こえたり、大抵の人が気にならない音が非常に気になってしまう症状です。
特定の音のみが気になったり、音全般が苦手等、様々な症状があります。例えばエアコンの音や外の道路の雑音、他の人がキーボードを叩く音、電話の声が気になる人もいます。
こう考えてみると、オフィスは聴覚過敏の人が苦手な音だらけですね。
人によっては、耳の奥が痛くなったり、頭痛につながってしまうくらい辛いものなのです。
「静かな環境だったらもっと効率的に仕事ができるのに!」と思う方もいるのではないでしょうか。
もち猫も、聴覚過敏当事者です。いつも仕事場ではイヤフォンをつけています。そうしないと、周りの音が気になって仕事になりません。
また、ADHDやASDがある人は、頭に入ってくる情報の取捨選択が苦手な傾向があると言われています。
その為、周囲の何気ない音が耳に入ってしまい、電話の声や同僚の声が聞き取りづらい時もあるのです。そしてそういった事からイライラがたまり、仕事場がストレスの原因で一杯になってしまいます。
そこで、もち猫も使用している「遮音イヤフォン(耳栓)」を試すのもいいと思います。耳栓は、ドラッグストアや100円ショップ、また高性能のものはネットなどでも販売されています。
種類や素材も様々なものがあるので、自分に合ったものが見つかると思います。また、高音域から低音域まで広い範囲の音を遮音してくれるイヤフォンもあります。
それぞれ、苦手な音域によっても選ぶ事もできます。
音楽やイヤフォンがOKな職場なら、小さな音で音楽を聴きながら仕事をしたり、ノイズキャンセリングイヤフォンを使ってみるのもお勧めです。この「ノイズキャンセリングイヤフォン」とは、内蔵されたマイクで周囲の音を拾って分析し、騒音をかき消し、いらない音を軽減させる仕組みです。
聴覚過敏の方が苦手な音を広い範囲(音域)で遮断してくれるのでお勧めです。本来は音楽を聴く為に使われるものですが、耳栓としても使えるのがメリットです。ただ、「サー」という小さなノイズが発生する場合もあります。
それも気になる!という方にはお勧めできませんが、音楽を聴く時は、音漏れも気にすることなく、快適に音楽を楽しめますし、耳栓としても使えると言う一石二鳥のイヤフォンなので、興味のある方はネット等で探してみるといいかもしれません。
感覚過敏当事者が集中して仕事をするには~視覚編~
視覚編
視覚過敏の特徴では、例えば人より光や色を敏感に感じ取ってしまうと言う事があります。パソコンのモニターがかなりまぶしく感じられたり、車のライトや太陽の光も苦手とするのが特徴です。
〝色〟についても苦手な部分があります。カラフルな絵やポスター、テレビの画面等を見ていると、気持ちが悪くなる等、体調に影響が出る場合もあります。
視覚過敏の人も、聴覚過敏の人と同じように情報の取捨選択が苦手で、視界の中に入る情報すべてを吸収してしまい、頭がパンクしそうになる事もあります。
対策として、「卓上パーティション」を置くことも一つの手だと思います。
そうすることで、情報の波から身を守ることができるのではないでしょうか。
これは机の上に立てられる仕切りの事で、これがあるだけでも隣の席の人や物は見えなくなります。
また、自分のデスクの上を整理することによって、視界から余計な情報を遮断することも、今すぐにできる対策です。
仕事に必要のないものは置かない。書類はきちんとファイリングする等、自分の周りをシンプルにすることによって、少しは視界がスッキリするのではないでしょうか。
また、パソコンのモニターの明るさを調整するだけでも目の疲れ具合は変わってくると思います。
そして、光がまぶしくない場所にデスクを配置してもらったり、照明を少し落としてもらう等の配慮をお願いしてみるのも一つの手かもしれません。
また、車を運転する時や外出する時には、色付きの眼鏡やサングラスを使用する事によって、まぶしさを軽減する事も良い対策だと思います。
ADHDがある人が集中して仕事をするには?
ADHD編
仕事を始めても、10分と経たない内に集中力が切れてしまう。スマホをいじってみたり、パソコンで色々なサイトを覗いてしまい、全く仕事にならない。そして、いつも仕事を締め切りギリギリになんとか間に合わせる。
「今度こそは計画を立ててやるぞ!」と意気込むも、いざ仕事に取り掛かるとまた同じことの繰り返し。
ADHDがある人は、以下のような特性があります。
・不注意(気が散りやすい)
・衝動性(何かを思いつくとパッと行動に出てしまう)
・多動性(じっと座っているのが苦手、貧乏ゆすりをしてしまう)
上に挙げた特性は一例ですが、このような特性から、仕事をする上で様々な困難を抱えてしまう事があります。例えば、やるべき仕事に優先順位がつけられなかったり、やりたくない仕事は延ばしにしてしまったりして、困り事がたくさん出てきます。
このコラムでは、
・仕事を並行してやれるようになりたい!
・一つの仕事だけだとすぐ飽きてしまう
・気が散りやすく、仕事が複数あるとどれをやればいいか困ってしまう
といった方に向けた対策を書いていきます。
まず、「一つの仕事だとすぐ飽きてしまう」という人にお勧めの方法を紹介します。
納期が同じくらいの時期の仕事なら、やらなければならない仕事全てをすぐに取り掛かれるように用意しておいて、飽きたら次の仕事へと「切り替え」が行えるようにしてみるのはどうでしょうか。
次に「仕事が複数あるとどれをやればいいか困ってしまう」人へのお勧めの方法です。
優先順位がある場合には、あらかじめとりかかる仕事の順に資料を並べておく。又、付箋等に仕事に取り掛かる順番を書いて、それぞれ貼り付けておく。順番を意識しながらうまく「切り替え」を行いつつ取り組むといいと思います。時々仕事の進捗状況を確認することも大切です。
さて、ではどのように仕事を進めていけばいいのでしょうか?
まず、調べもの、伝票整理、企画書の作成等に必要な紙の資料は仕事別にファイルに分けておきます。わかりやすい分け方としては、仕事の種類によってクリアファイルやバインダー等に分け、ごちゃごちゃになってしまわないようにすることです。
ADHDの特性、〝不注意〟や〝衝動性〟への対処法
これも、ADHDの特性である、不注意や衝動性によって、無意識に資料を別のファイルに入れてしまったり、衝動的にどこかに置いて、はっと気づいたときに「あの資料どこへやったっけ⁉」等とならないようにする為です。
またパソコンの資料も、仕事ごとにフォルダに入れてまとめておきます。そして、「仕事を並行してやりたい方」は、例えばパソコンの仕事だったらそれぞれの仕事に必要なファイルやソフト(word・excel等)をすべて起ち上げておく、というのもお勧めです。
そうすることで、例えばメール作成中でも何かアイディアが浮かんだらすぐに企画書作成に切り替えたりと、仕事もスムーズに行くと思います。
そして、仕事に集中するには、休み時間に自分にご褒美をあげる事も大切です。
たばこを吸ったり、美味しいコーヒーを飲む、スマホ等で動画を見る、甘いお菓子をちょこっと食べる等、ご褒美を決めておくと、仕事時間のモチベーションも保ちやすくなります。
ADHDの特性の一つ、〝多動〟にはどう対処する?
休憩するときは思いっきり羽を伸ばして、仕事時間はきちんと仕事に集中する事が大切です。しかし、いくら「集中しよう」と思ってもADHDの特性〝多動〟が表れてしまうと、仕事も手につかなくなりますよね。
そんなときにお勧めなのが、「手遊びグッズ」。
例えば、ハンドエクササイズボールやシリコン粘土等、本来は握力を鍛えるものではありますが、適度な刺激が心地いいので、気を紛らわすのには合っていると思います。
シリコン粘土も、ゴムの感触が苦手、という人にはお勧めです。マッサージグッズなので音が出る事もなく、周囲に迷惑をかける心配もありません。自分が不安定になった時、動きたくて気持ちがそわそわしている時に触る用に、デスクに置いておいてもいいかもしれません。
ある程度自由が利き、音楽を聴いてもOKな仕事場なら、そちらも気を紛らわすのには有効です。もち猫が働いている仕事場では、聴覚過敏の特性があることを相談したところ、周囲の物音が気になって仕事に集中できないようなら、音楽を聴いてもOKという配慮をしていただきました。
最初の内は耳栓で対応し、周囲の音のせいで仕事に集中できなくなったら、音楽を聴きながらコラムを書いています。この配慮のおかげで、何も使わなかった今までより仕事がスムーズに進むようになりました。音楽を聴くことで心も安定するので、より仕事に集中することができます。
周囲からも理解を得ているので、ストレスを感じた時や不安が襲ってきた時は、音楽で気を紛らわすことで、何とか就労を継続できています。
「仕事がはかどる環境」は自分から働きかけて作るもの!
このように、「自分が苦手とする事・配慮してほしい事」を職場の上司等に相談するという事も、自分が集中して仕事に取り組むには必要です。
自分の特性を理解し、それを周りの人にも知ってもらう。そして、仕事をしやすい環境を考え、工夫をする。そのうえで、可能な範囲の配慮をしてもらえるように伝える。
そういった姿勢が大切なのではないでしょうか。
自分が働きやすいスタイルを確立するには、周囲がどうにかしてくれるのを待つのではなく、自分から動くことが必要です。
自分が働きやすい環境にするにはどういう工夫をすればいいのか考え、自分で試行錯誤してみる、同僚や上司に相談する等、まず行動することです!
様々な理由で仕事に集中するのがなかなか難しい方も、自分に合った「集中して仕事に取り組める方法」が見つかることを願っています。
ADHD・ASDがある人はその特性からマルチタスクが苦手で、「人の話を聴きながらメモを取る」といったことが苦手な方もいらっしゃいますよね。そんなときはこちらをどうぞ⇩
著者 もち猫
福祉系の大学卒業と同時に社会福祉士、精神保健福祉士資格取得。統合失調症。自分の体験談なども織り交ぜながら、主に福祉系のコラムの執筆を担当。
