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天狗とその種類をピックアップして紹介!妖怪ではなく神として祀られる天狗も?

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「天狗」と聞くと、山奥に住み、修行者や旅人に試練を与える妖怪というイメージが強いかもしれません。しかし、天狗は単なる妖怪としての存在にとどまらず、日本の山岳信仰や修験道とも深く結びついています。天狗は地域によっては神聖な存在として崇められてきました。

天狗にはさまざまな種類が存在します。また、天狗は自然の霊的な守護者として信仰され、特定の山々では修験道の修行を支える神として崇められています。このように日本の天狗は地域ごとに多彩な姿を持ち、妖怪という枠を超えて、神としての存在感を持つケースも珍しくありません。

本記事では、天狗の由来や多様な種類を掘り下げていきます。ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

天狗の由来

天狗の名前の由来は中国にあります。中国の古代の天文学や神話には、「天狗」という彗星や悪兆をもたらす星のような存在が記されています。中国の天狗は星食いの犬や不吉な予兆とされており、日本にその概念が伝わった際、空を飛ぶ悪霊として解釈されました。これが日本の天狗のイメージに影響を与えたとされています。

修行僧が転じた姿

天狗は、修験道や山岳信仰と深く結びついています。天狗の姿は山伏や修験者の姿と似ており、これらの宗教的行者は神秘的な力を持つ者とされていました。この説が転じて天狗の原型と考えられるようになりました。

天狗は仏教と道教の影響も受けています。仏教の経典には、悪霊や迷信的な存在としての天狗の記述が見られます。特に、仏教の中では修行を妨げる存在や、驕り高ぶった修行者の化身として描かれることもありました。このようにして、天狗は修行者が堕落した姿とも捉えられています。

外国人と見間違えた?

天狗が「外国人と見間違えた」という説も存在します。江戸時代、特に16世紀以降、ポルトガル人やスペイン人といった南蛮人と呼ばれる西洋人が日本にやって来ました。

天狗のイメージには「赤い顔」「高い鼻」「異国風の装束」などがありますが、これは当時の西洋人の見た目に通じるものです。また、天狗は「空を飛ぶ」「奇妙な力を持つ」といった驚異的な存在として恐れられていました。これは外国人という未知の存在への不安や恐れが投影された可能性があります。

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伝承にはこういった勘違いの説もあるので、おもしろいですね。

天狗の種類

大天狗

大天狗は天狗の中でも特に位が高く、威厳と力を持つ存在です。大天狗は赤い顔と非常に長い鼻を持ち、人間に近い姿で描かれますが、威圧感のある雰囲気を持っています。この特徴的な長い鼻は、天狗の象徴的な姿として広く知られています。山伏のような装束をまとい、頭には天狗の面を被ることも多いです。

大天狗は天狗の中でもリーダー的な存在で、山や森を支配しています。中世以降、大天狗は「大魔王」と呼ばれるようになり、中には天上世界を一気に焼き払えるほどの大妖怪とされる者もいます。大天狗にはダイダラボッチに比肩するほどの巨大な種もいるなど、非常に多種多様です。

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アニメや漫画などでよく見かける天狗のモチーフに一番近いのが大天狗です。

烏天狗

鳥天狗は鳥のような顔と黒い羽を持つ姿で描かれることが多いです。顔は烏や鷹のような鋭い嘴を持ち、全体的に猛禽類のような威圧感があります。体は人間の姿をしていることが多いものの、羽が生えていて、自由に空を飛ぶことが可能です。

その戦闘力や武術の腕前は非常に高く、剣術や弓術の達人としても知られています。鳥天狗の中には、幼少期の牛若丸に剣術を指南した者もいるのです。大天狗の手下として知られていますが、元々天狗とは鳥天狗のことであり、大天狗は鳥天狗より後に誕生したと言われています。

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弟子をとることもあり、剣術や戦術を教える師匠として登場する伝承もあります。

木の葉天狗

木の葉天狗は鳥天狗と同じような姿のほかに、白狼の姿や、人間に近い姿も見られます。一般的に巨大な鳥のような姿で、その大きさは1.8メートルにも及ぶのです。通力を有しているため侮れない存在ですが、術を持たない人畜無害な天狗として伝わっている説もあります。

木の葉天狗は非常にいたずら好きで、人々をからかったり、騙したりすることが多いです。木の葉を使って金や財宝に見せかけるなど、人を惑わすことがあります。天狗の中では地位はかなり低いとされ、他の天狗のために資金を稼いだりしているのです。

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トビによく似た天狗といわれています。

女天狗

天狗は一般的に男性の姿で描かれることが多いですが、女天狗は特別な存在として、天狗の多様性を示しています。女天狗は美しい女性の姿で描かれることが多く、長い黒髪と赤い顔、特徴的な長い鼻を持つこともあります。ただし、一般的な天狗のような厳つい姿ではなく、華やかで美しく描かれることが多いです。

人を見下したりする傲慢な尼が女天狗になるという説もあり、清少納言が死後この妖怪になったと書かれているものもあります。女天狗の伝承は数が少ないですが、いくつかの地域で語り継がれています。彼女たちは天狗としての力を持ちながらも、より人間味のある側面を持っており、畏れと憧れの対象になっているのです。

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傍から見たら美しい女性にしか見えないので、背中の羽が見えるまでは天狗だと分からなかったそうです。

神として祀られている天狗

天狗が神として祀られている例はいくつかあり、日本の山岳信仰や修験道と深く結びついています。特に修験道の影響が強い地域では、天狗が修行者の守護者や導き手として神聖視され、神としての役割を持つようになりました。

牛若丸に剣術を教えた鞍馬寺の「鞍馬天狗」。 修験道の聖地として知られている英彦山の「豊前坊」。修行者に試練を与え同時に彼らを守護し導く存在の比叡山の「法性坊」など、その存在は多岐にわたります。

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これらの信仰は日本の各地で地域ごとに異なる形で根付いており、天狗の神格化は地域の文化や伝統にも深く影響を与えています。

さいごに

天狗は山岳に住み修行者や旅人を試す存在として恐れられることが多いですが、それだけではありません。地域によっては天狗が神聖視され、守護者や導き手として崇められてきた歴史も存在します。天狗の姿や性質は実に多様で、それぞれの地域や文化の中で独自の役割を果たしてきました。

また、天狗が単なる妖怪ではなく、神として祀られる例も数多くあります。天狗は修験道や山岳信仰と深く結びつき、山の守護者として神格化されることも珍しくありません。

現代においても、多くの神社や霊山で天狗が祀られ、参拝者たちに敬意を持って受け入れられています。天狗たちは、今もなお日本の山々で静かに見守り、私たちに自然との調和や霊的なつながりを思い出させてくれているのかもしれません。

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