4年に1度開催されるアスリートたちの祭典といえば「オリンピック」です。参加国から選びぬかれた各競技のプロフェッショナルが覇を競い合うイベントで、その注目度も相まって莫大な経済効果を生むとも言われています。しかし「オリンピック」が終われば祭典も幕引きというわけではありません。
「オリンピック」の後には「パラリンピック」が控えているからです。パラリンピックは「障がいのあるアスリートたちのオリンピック」のことを指します。この事を理解している人は多いのではないでしょうか?ではここであなたに質問です。
「パラリンピックの『リンピック』」はオリンピックのことを指しますが、「パラリンピックの『パラ』」とは何でしょうか?
正解を知るためには1度、パラリンピックの原点に立ち返る必要があります。今回はパラリンピックの誕生の歴史から、パラリンピックの「パラ」の由来について解説していきます。
目次
パラリンピックって何?
パラリンピックは「障がいのあるアスリートたちのためのオリンピック」です。オリンピックと同じ年・場所で開催されます。第1回パラリンピックは1960年イタリアのローマで開催され、選手たちはアーチェリー・水泳・卓球など計8種目で競い合いました。
パラリンピックの「パラ」とは何か?
パラリンピックの「パラ」は下半身まひを意味する「palaplegia(『パラ』プレジア)」と平行という意味を持つ「pararel(『パラ』レル)」から取られています。この2つの『パラ』からパラリンピック誕生前と後の歴史を知ることができます。
パラリンピックはここから始まった!「ストーク・マンデビル競技大会」
パラリンピックは元々「ストーク・マンデビル競技大会」という名称の競技大会でした。
パラリンピック開催のきっかけとなったのは「ストーク・マンデビル病院」で開催されていた 「ストーク・マンデビル競技大会」 です。第二次大戦によって下半身まひの障がいを負った人のリハビリのためにアーチェリー競技会を開催したのが始まりで、院内のみで開催されていた小規模な大会でした。当時の参加者は16人と言われています。
院内から世界へ!「第1回パラリンピック」開催!
しかし回数を重ねていくうちにその規模は大きくなり、1952年に国際大会として「第1回パラリンピック」が開催されました。なお、この当時はパラリンピックと呼ばれておらず、「第9回ストーク・マンデビル競技大会」という名称でした。1985年にパラリンピックという名称が正式に認められ「第1回パラリンピック」となりました。
パラリンピックのパラがもう1つの意味を持った瞬間
1985年に正式名称が「パラリンピック」と認められた際、IOC(国際オリンピック委員会)によってパラリンピックの「パラ」はもう1つの意味を持つことになります。パラリンピックは回数を重ねていくうちに、さまざまな障がいを持つアスリートたちが参加するものとなり、当初のような「パラ」プレジア(下半身まひの意)の障がいを持つ人だけの競技大会ではなくなったからです。
そこでIOCは「パラリンピック」の「パラ」は「pararel(『パラ』レル)」な(平行の意)」であるとし、もう1つのオリンピックであると再解釈しました。これによって1988年開催の「ソウルオリンピック」から「パラリンピック」という名称が使われることになります。
この時点で第8回目の開催となる「パラリンピック」の参加国数は61か国、参加人数は約4200人でした。かつて「ストーク・マンデビル病院」で行われていた小規模な大会はここまで大きくなりました。
パラリンピックの「パラ」の由来は?
パラリンピックの「パラ」は当初は、下半身まひを意味する「palaplegia(『パラ』プレジア)」から取られたものでした。しかしさまざまな障がいを持つアスリートたちが参加するようになったため、IOCが「パラリンピック」の「パラ」は並行を意味する「pararel(『パラ』レル)」とし、パラリンピックの「パラ」はもう1つの意味を持つようになりました。
これがパラリンピックの「パラ」の由来です。
オリンピックパラリンピックの競技についての紹介
パラリンピックは「障がい者のアスリートたちのためのオリンピック」ということもあって、障がいに合わせて競技ルールが変更されていたり、パラリンピック独自の競技があったりと通常のオリンピックとはひと味違った競技シーンを見ることができます。
通常の車いすとは違う?スポーツ用車いすを使った競技!
骨折や下半身まひなどの影響によって歩けなくなった人が移動手段として使うものは一般的に松葉杖や車いすというイメージがありますが、パラリンピックでは車いすを用いた競技が存在します。選手たちは通常の車いすとは違う、競技用に作られた車いすを使用して他の選手達と競い合います。
競技によって種類はさまざま!スポーツ用車いすの工夫
競技用車いすはタイヤが「外側に傾いて八の字のように接地」しています。通常の車いすのようにタイヤがまっすぐに接地していません。これには理由があり、競技で急ターンや細かい位置取りが重要になってくるからです。車輪がまっすぐのままでは難しいですよね。
他にも競技によっては車輪が3つあったり、衝突がある競技でも問題のない頑丈な作りをしていたりと競技によって種類はさまざまです。パラリンピックは競技だけでなく、使う道具や設備にも工夫が凝らされているのです。
パラリンピックで使用される競技用車いすがどのような物か知りたい方は、こちらで確認できます。
まとめ
パラリンピックの「パラ」の名前の由来について紹介しました。当初は、下半身まひの障がいを負った人のリハビリのために院内で開催されていた小規模な競技大会でした。ですが「もう1つのオリンピック」と呼称されるような時代が来るとは、当時の人は誰も予想できなかったのではないでしょうか?
パラリンピックは「人間はここまで動ける」という証明を与えてくれる希望の祭典であり、観戦する人に新たな視点や考え方を与えてくれる場でもあります。オリンピックの直後に開催されるという事情も相まって、新聞やテレビに取り上げられることも多く、その注目度は年々上がってきています。
機会があれば観戦してみてはいかがでしょうか?