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日本神話のあらすじ紹介!「古事記」に登場する神々の興味深いエピソード

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みなさんは「神話」と聞いて、どのような神様や伝説を思い浮かべますか?世界的に有名な北欧神話の主神オーディンやギリシア神話の全知全能の神ゼウス、あるいはユダヤ教・キリスト教の聖書に登場する天使と唯一神の逸話などが有名ですね。

海外の小説や映画では、北欧神話や聖書の要素を取り入れた作品が多く見かけます。日本も同様に「古事記」で登場する「八百万の神々」をうまく取り入れた作品も数多く存在し「神話のことはあまり知らないけど、名前なら聞いたことがある」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そこで、今回は「日本神話のあらすじ紹介!古事記に登場する神々の興味深いエピソード」についてご紹介します。漫画・アニメ・ゲームにも登場する有名な神様たちの神話を分かりやすくお伝えしますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

「古事記」と「日本書紀」の概要

今回、お話する日本神話の参考元となる「古事記」と、同時期に編纂した「日本書紀」についてご説明します。

古事記

和銅五年(712年)に編纂された日本に現存する書物であり、日本神話を含む最古の歴史書です。上巻・中巻・下巻の3冊で構成しており、天地のはじまりから推古天皇時代までの記録が記述されています。

「古事記」の編纂者は太安万侶です。和銅四年(711年)に元明天皇から編纂の命をうけ、上巻・中巻・下巻からなる「古事記」をわずか4カ月で完成させ、翌年の1月に元明天皇へ献上しました。

「古事記」の特徴として、日本の古語を書き記すため、変体漢文を用いており、「日本書紀」と比べ国内向けの文章になっています。内容も神々の世界から各天皇の時代の出来事を描く点では「日本書記」と変わらないが、「古事記」の方がより文学性が高く、それぞれの物語がドラマチックに描かれており、天皇家の歴史を記す重要な書物です。

日本書記

養老四年(720年)に完成した「古事記」に並ぶ日本に現存する最古の歴史書です。全30巻と系図1巻(系図は現存しない)で構成しており、天地開闢から始まる神代から持統天皇時代までの記録が記述されています。

「日本書紀」の撰者(編集者)は天武天皇の皇子・舎人親王ですが、ほかにも紀清人と三宅藤麻呂が編纂に携わりました。「日本書記」の編纂をいつから始めたかは諸説ありますが、天武天皇10年(681年)に天皇が川島皇子らに「帝紀」と「上古の諸事」の編纂を命じたことが「日本書紀」編纂のはじまりとされています。

「日本書紀」の特徴として、当時の国際語(漢文)を用いて、神代から持統天皇時代までの出来事を編年体(年代順に記す形式)で書かれており、国外向けの文章です。ただし、万葉仮名を用いた和歌128首が記載されており、特定の語意について日本語(和語)読みで注釈する点からも当時の外国(唐や新羅など)に日本がどういう国で成り立っているかを伝えるために作られたと考えられています。

ミノワ

古事記と日本書紀で登場する神様が違ったり、神様の名前や物語の結末も変わったりもします。

日本神話「古事記」の各エピソード

先述した通り、「古事記」は文学作品としても物語を楽しむことができる歴史書です。「古事記」に記載されている日本神話は膨大なため、上巻の一部を抜粋し、時系列順にご紹介します。

日本のはじまり「天地開闢(てんちかいびゃく)」

世界のはじまり、高天原(たかまがはら)に天之御中主(アメノミナカヌシ)が現れ、次いで高御産巣日神(タカミムスビ)、神産巣日神(カミムスビ)が現れました。この三柱を「造化の三神」と呼びます。

続いて、宇摩志阿斯訶備比古遅神(ウマシアシカビヒコヂ)と天之常立神(アメノトコタチ)、二柱の神々が現れ、この二柱と「造化の三神」は根源的な影響力をもつ特別な神「別天津神(ことあまつかみ)」と呼ばれました。これ以降、この「別天津神」は日本神話に表立って登場することはありません。

その後、性別のない二柱の「独り神」(別天津神も独り神に属します)が出現したのちに、男女ペアの4組8柱の神々が出現します。そして、最後に伊邪那岐神(イザナギ)と伊邪那美神(イザナミ)が誕生しました。これら一連の神々を「神代七代(かみよななよ)」と呼びます。

日本を形作る「国生み神話と神生み神話」

天津神から国土の修理固成(つくろひかためなせ)を命じられたイザナギとイザナミは「天沼矛(あめのぬぼこ)」を授かり、天の浮き橋先で未完成の下界に矛を突き立て、かき回すと「オノゴロ島」ができます。

その島に降り立つイザナギとイザナミは結婚し、最初の子・水蛭子(ヒルコ)を産みますが、間違った方法で産んだことで、体が不自由な子として海に流されました。次に産んだ淡島神(アワシマ)も正しく生まれてこなかったため、二柱は天津神に教えを乞います。

そして、正しい婚姻を結ぶことで改めて国生みをはじめることになり、淡路島、四国、隠岐諸島、九州、壱岐島、対馬、佐渡島、本州の「大八島(日本列島)」が誕生しました。後に「神生み」を行うことで数多くの神々が生まれますが、最後に生まれた火の神「カグツチ」を産んだ際にイザナミは大火傷を負い、この世を去ります。

イザナギとイザナミの決別「黄泉の国」

残されたイザナギは、黄泉の国に逝ってしまったイザナミを連れ戻すべく、黄泉の国に赴き、死者が住む黄泉の国に着きました。イザナギは出迎えるイザナミに共に戻るように説得をしますが、イザナミは「黄泉戸喫(よもつへぐい)」(黄泉の国の食べ物を口にする)をしたため、戻れないと告げます。

けれど、黄泉津神に相談するため、その間は中を決して覗かないことを禁忌に科してイザナギを待たせました。しかし、しびれを切らしたイザナギは、手元にあった櫛に火を付け、中を覗いたら、体が朽ちて蛆の沸いたイザナミの姿を見てしまいます。

恐ろしいモノを見たイザナギは恐怖のあまり、その場を逃げ出しますが、イザナミは姿を見られたことに怒り、イザナギを追って雷神や鬼女を追っ手に差し向けます。命からがら、この世とあの世の境目である「黄泉比良坂」についたイザナギは、大きな岩で入り口を塞ぎました。

追いついたイザナミは、岩の向こうにいるイザナギに「1日に千人呪い殺す」と言ったのに対し、イザナギは「ならば、1日に千五百の産屋を建てる」と言い放ち、これが日本に根付く死生観の由来とされています。

イザナギの禊(みそぎ)によって生まれた「三貴子(三貴神)」

黄泉の国から戻ったイザナギは、黄泉の国のけがれを祓うために日向の阿波岐原で禊を行いました。自身に付着したけがれを洗い流すことで、さまざまな神々が生まれ落ちます。最後に左目を洗うことで「天照大御神(アマテラス)」が生まれ、右目を洗うと「月読命(ツクヨミ)」が生まれ、鼻を洗うと「須佐之男命(スサノオ)」が生まれました。

この三柱は、もっとも貴い神「三貴神」と呼びます。イザナギは大いに喜び、アマテラスに太陽の神として高天原を、ツクヨミに月の神として夜の食国を、スサノオに嵐の神として海原を、それぞれ統治するように命じました。しかし、スサノオは亡き母がいる根ノ国に行きたいと泣くばかりのせいで、父・イザナギの怒りを買い、追放されます。

暴れるスサノオに怒り、アマテラスが閉じこもる「天の岩戸神話」

その後、スサノオはアマテラスがいる高天原へ向かいました。高天原を奪いにきたと疑ったアマテラスは、高天原に現れたスサノオに弓を携えて出迎えるが、疑いを解きたいスサノオは、自身の潔白を証明するため、お互いに「うけい(誓約)」を行い、子神を生みます。

この時に、皇室や出雲国造の始祖となる五柱の男神と三柱の女神が生まれました。しかし、これに乗じてスサノオは高天原で様々な騒動を起こすようになります。暴れるスサノオに怒ったアマテラスは「天の岩戸」に閉じこもってしまい、高天原と地上世界は闇に覆われてしまいました。

困り果てた神々は、天安之河原に集まり、一柱の賢い神様の計略で「天の岩戸」の前で楽しく宴を開くことになります。芸能の神「天宇受賣命(アメノウズメ)」の踊りにより、周囲の神々は大いに盛り上がりました。外の様子が気になったアマテラスは「天の岩戸」を開けることで高天原と地上世界に光が戻ったのです。

スサノオの英雄譚「ヤマタノオロチ神話」

高天原を追放されたスサノオは出雲国・肥河に降り立ちます。箸が流れた川の上流へ向かうと美しい娘を間に老夫婦が泣いていました。老夫婦はアシナヅチとテナヅチと名乗り、美しい娘は「櫛名田比売(クシナダヒメ)」という名前です。

老夫婦は「自分たちには8人の娘がいたが、毎年ヤマタノオロチが訪れて、娘を一人ずつ喰われてきた。今いる娘が最後の一人で、また喰われる時期になったから泣いている」と答えます。

そこで、スサノオはクシナダヒメとの結婚を条件にヤマタノオロチ退治を請け負うことになりました。秘策を練ったスサノオは、姿を現したヤマタノオロチに酒を飲ませ、酔って眠らせたところを十握剣(とつかのつるぎ)で切り刻み、見事ヤマタノオロチを退治します。

その時、ヤマタノオロチの尾から一本の剣が出現し、この剣を高天原にいるアマテラスに献上しました。これが後の三種の神器の1つ「草薙剣(天叢雲剣)」とされています。

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その後も、「国譲り神話」や「天孫降臨」「神武東征」などの物語に繋がります。

まとめ

以上、「日本神話のあらすじ紹介!古事記に登場する神々の興味深いエピソード」についてご紹介しました。日本神話と呼ばれる伝承の多くは「古事記」と「日本書紀」の高天原の神々を中心に語られています。

「出雲神話」や蝦夷が信仰する「アラハバキ」など、記紀が編纂される以前にも日本各地の伝承・神話が存在しました。大和朝廷の支配が広がるにつれて、その土地神は「国津神」など、姿を変えて日本神話に統合されたのです。

現代の創作でも日本神話を題材した娯楽作品が多くあります。元ネタとなる神話を知ることで理解を深め、より作品を楽しめるため、この機会に日本神話や世界の神話に触れてみてはいかがでしょうか?最後まで読んでいただきありがとうございました。

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