日本の秋の風物詩の1つ「紅葉狩り」。紅葉狩りは一般的に色づいた紅葉を見物するもの。しかし紅葉狩りは「狩り」という漢字が使われています。「狩り」は獣や野生の鳥を獲ることを意味する「狩猟(しゅりょう)」と同じ意味です。紅葉を見物するのに「狩り」とい漢字が使われていることを不思議に思いませんか?
この記事では、紅葉狩りに「狩り」という漢字が使われている理由から由来まで詳しく解説します。また紅葉狩りにオススメな食べ物を最後に紹介します。この記事を読んで、紅葉狩りに足を運んでみてはいかがでしょうか?
目次
紅葉狩りとは

紅葉狩りとは、紅葉を楽しむことをいいます。「紅葉」と漢字で書いて「こうよう」と読みますが「紅葉狩り」は「こうようがり」ではなく「もみじがり」と読みます。
意味
紅葉とは※落葉広葉樹が落葉する前に葉が色付いた現象のこと。紅葉狩りの意味は、色付いた葉を見物することです。紅葉狩りが「狩り」と呼ばれる意味については、後ほど詳しく説明します。
※落葉広葉樹・・・秋や冬など乾燥した季節に葉を落とす植物のこと。
由来
今から1200年以上前の奈良時代に作られた日本で最も古い歌集「万葉集」の中に「紅葉」や「黄葉(もみち)」という言葉が登場します。しかし、その時代に紅葉を見物することは世間に根付いていませんでした。平安時代に貴族の遊びとして定着。江戸時代中期に庶民も楽しめるものへと変わっていきました。
日本で一番早く紅葉狩りができるのは、北海道の大雪山(だいせつざん)にある旭岳(あさひだけ)です。毎年9月頃から紅葉狩りをすることができます。
観賞するのに、なぜ「狩り」なのか?

紅葉狩りは「見物」することを意味し「狩猟」などと同じような獲物を捕らえることではありません。紅葉狩りが「狩り」になったのか?その理由は諸説あります。その中でも有名な理由を3つ紹介します。
理由① 貴族が自然を愛すことを「狩り」に例えたから
貴族が野山を歩くことは下品な行為といわれていた平安時代。「狩り」を理由にすると歩いて紅葉を見物することも不自然ではなく、貴族の面目が立ちます。これが「紅葉狩り」になった1つ目の理由です。
理由② 「狩り」という言葉は「狩猟」だけではないから
「狩り」という漢字は獲物などを捕らえる「狩猟」だけを意味するわけではありません。
- ① 野山で鳥獣を捕らえること。「狩猟」
- ② 魚や甲殻類といった魚介類を採ること。「潮干狩り」
- ③ 野山で観賞や採取すること。「きのこ狩り」「紅葉狩り」
これらが辞書で出てきた「狩り」の意味です。「お花見」も昔は「桜狩り」という言葉でした。これが2つ目の理由です。
理由③紅葉伝説(もみじでんせつ)
長野県長野市にある戸隠山(とがくしやま)。戸隠には紅葉にまつわる有名な伝説があります。それが「鬼女紅葉伝説」。
平安時代、京には紅葉(もみじ)という名の女性がいました。紅葉は源経基(みなもと の つねもと)からとても愛されていました。それを妬んだ※正室は紅葉を長野県の山間部、鬼無里(きなさ)に追いやります。
紅葉は都へ戻るための軍資金集めのため村を荒らし、後に「鬼女」と呼ばれるように。平安時代の武将「平 維茂(たいら の これもち)」が鬼女の退治を指示。鬼女の紅葉を退治したことから、紅葉狩りと呼ばれるようになりました。これが3つ目の理由です。
※正室・・・身分が高い人の正式な妻のこと。
紅葉狩りのお供に食べたい物

紅葉狩りお供におススメの食べ物を3つ紹介します。
新そば
1つ目は新そばです。新そばとは、一般的に収穫してから1~2か月のそばのことをいいます。新そばは、通常のそばと比べても味・香り・色など全てが異なります。一般的に新そばの季節は秋。紅葉を見ながら、新そばを食べることは秋にしかできない特別なことです。
紅葉狩り以外にも、新そばが有名な地域では「新そば祭り」が行われる場所もあります。新そば祭りが行われる時期は、紅葉が見頃を迎えていることが多いです。
秋スイーツ
2つ目は秋のスイーツです。秋は栗・サツマイモ・柿・梨など多くの食べ物が旬を迎えます。秋スイーツと紅葉。これも、秋にしか味わうことができないことです。
紅葉と秋スイーツは写真映えもします!
屋台飯
3つ目は屋台飯です。紅葉の名所では「紅葉祭り」が行われていることがあります。場所によっては屋台が出店していることも。紅葉と楽しむ屋台飯は、夏のお祭りと違った楽しさを味わうことができます。
まとめ
いかがでしたか?「紅葉狩り」についてお分かりいただけましたか?鬼女伝説がある長野県戸隠山でも2024年11月3日に鬼女紅葉祭りが行われます。気になった方は、ぜひ訪れてみてください。
戸隠山以外にも、日本にはたくさんの紅葉の名所があります。秋はとても過ごしやすく、旅行に最適な季節。ぜひ、この機会に紅葉狩りに足を運んでみてはいかがでしょうか?最後までお読みいただきありがとうございました。