旧暦の10月10日~17日までは神無月と言われています。現在の暦に当てはめると、10月の下旬から12月上旬。この月は神社の神様が出雲大社に集まるので、神様が不在になる期間です。そうなると、神様がいない神無月は参拝する意味があるのか気になりますよね。そこでこの記事では、
- 10月の神無月は参拝する意味がないって本当?
- 出雲大社に行かない神様もいるの?
- 伊勢神宮と出雲大社で何か違いはある?
ということをまとめました。この記事を読めば、「神様がいないと言われる神無月の参拝について」詳しくなれます。いろいろ調べたけど、難しい話で今までよく分からなかった、という方もいますよね。そんな方のために、分かりやすい優しい内容でまとめました。ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
10月の神無月には神様がいない?出雲に行かない神様について
結論から言うと、10月になっても出雲大社には行かない「留守神さま」という神様がいます。その代表的なのが天照大御神(あまてらすおおみかみ)です。まずは、この留守神さまについて、詳しく見ていきましょう。
天照大御神(あまてらすおおみかみ)
留守神さまとして有名なのは、天照大御神です。天照大御神といえば、伊勢神宮の内宮にまつられています。天照大御神は最も位が高い最高神。日本全国の平和を強く願った神様です。
最高神であるゆえに、出雲の1か所だけに集中するということをしませんでした。そのため、天照大御神は出雲大社には行かない、留守神さまとなったわけです。
現在、伊勢神宮では10月になると、神嘗祭(かんなめさい)という祭典が行われます。これは農作物が豊かに育ったことを感謝する儀式。伊勢神宮の年間行事の中で、最も重要な祭典です。
日本神話では、天照大御神は皇室の先祖として語られるくらい、尊い神様です。
留守神さま
天照大御神以外にも、留守神さまは多く存在しています。その一覧をまとめました。
留守神さまの名前 | 留守神さまがいる神社 |
恵比寿(えびす)神 | 大前神社(栃木県真岡市) |
大黒(だいこく) | 舞子六神社(兵庫県神戸市垂水区) 神田明神(東京都千代田区外神田二丁目) |
荒神(こうじん) | 荒神社(奈良県野迫川村) 笠山荒神(桜井市) 清荒神(兵庫県宝塚市) |
亥子(いのこ)の神 | 護王神社(京都市上京区) |
竈神(かまどしん) | 富岡八幡宮(東京都江東区) |
道祖神(どうそじん) | 洲崎神社(愛知県名古屋市) |
もともと10月は「神の月」といわれ、「神な月」が「神無月」に転じたという説もあります。神様が不在であっても、留守神さま達が優しく見守ってくれるでしょう。
神無月になると伊勢神宮と出雲大社では何が違う?
神無月になっても留守神さまの天照大御神がいる伊勢神宮。一方、神無月になると神様が集結する出雲大社。相対するように思いますが、何か違いがあるのでしょうか?ここからは、神無月になると、伊勢神宮と出雲大社ではどんな違いがあるのか、詳しく見ていきましょう。
出雲大社では神迎神事(かみむかえしんじ)
神様が集まる10月の出雲大社では、神迎神事(かみむかえしんじ)が行われます。文字通り、全国の神様をお迎えする儀式です。出雲大社では、この神迎神事(かみむかえしんじ)、神在祭(かみありさい)、そして神等去出祭(からさでさい)が10月の主な行事。それぞれの詳細は以下を参考にしてください。
神迎神事(かみむかえしんじ)毎年旧暦10月10日
夜の7時から、提灯で照らされた出雲大社まで続く「神迎の道」を歩く。
豊作や豊魚を感謝し、特別拝礼が行われる。
神在祭(かみありさい)毎年旧暦10月11日、15日、17日
全国の神様が集まる10月11日から17日の7日間の間に行われる。
縁結びや、来年の稲作についての会議が行われる。
この期間中は会議をしている神様の邪魔をしないよう、楽器の演奏などはせず、静粛を保つ。
一般の参拝も一切できない。
神等去出祭(からさでさい)毎年旧暦10月17日、26日
10月17日夕方4時に、出雲大社に集まった神様を、お見送りする儀式が始まる。
神官が「お立ち~」と3回唱えると、神様がそれぞれの神社に帰る合図。
10月26日は、神様が出雲大社から帰られたことを報告する儀式も行われる。
どの行事も一般公開はされていません。フラッシュ撮影なども禁止なので、注意しましょう!
参拝の仕方
伊勢神宮の出雲大社では、参拝の作法に少しだけ違いがあります。それぞれの参拝方法を比較してみましょう。
- 伊勢神宮
① 軽くお辞儀をする
② お賽銭を入れる
③ 二回お辞儀をする
④ 拍手を二回打って、お祈りをする
⑤ 一礼をする
伊勢神宮では、いわゆる二礼二拍手一礼。最も一般的な参拝作法で、知っている方も多いですよね。しかし、伊勢神宮では、二拝二拍手一拝(にはい にはくしゅ いっぱい)と表現します。
やることは変わりませんが、「礼」と「拝」ではお辞儀の角度が違います。礼は30度~45度。拝はさらに深い90度。それくらい、伊勢神宮の天照大御神様には敬意を示すという意味があります。
- 出雲大社
① 軽くお辞儀をする
② お賽銭を入れる
③ 二度お辞儀をする
④ 拍手を四回打って、お祈りをする
⑤ 一礼をする
伊勢神宮との大きな違いは、いわゆる二拝四拍手一拝(にはい よんはくしゅ いっぱい)。出雲大社では、拍手を四回打つと覚えておきましょう。
これには春夏秋冬の四季や、東西南北の四方を意味しています。1年を通して天災に見舞われず、四方八方を守護する、という意味が込められてきました。
拍手をする時は、右手を少し下にずらして行います。神様は左手に宿り、右手に人が宿るため、神様より1歩下がって、讃える気持ちを表します。
1番大切なこと
伊勢神宮や出雲大社、それ以外の神社であっても、1番大切なことがあります。それは「感謝をすること」です。例えば、
- 今日も参拝に来られたことへの感謝
- 家族や友人が健康に過ごせたことへの感謝
- 平和に過ごせたことへの感謝
などがあります。広く落ち着いた心で、感謝の気持ちを忘れずに持つことで、普段の生活にも活きてくるのではないでしょうか。
逆に、神社でやってはいけないNG行動は、
- 動物の死を連想させる毛皮や革を身に着ける
- 私利私欲ばかりのお願いをする
- 金属など派手な装飾や服装で行く
- 本殿のご神体に向かって写真を撮る
- 大きな声で喋る
などがあります。今一度、自分自身を見つめなおすチャンスだと思って、参考にしてみてください。
まとめ
この記事では、神無月に出雲へ行かない神様はいるのか、伊勢神宮と出雲大社の違いについて解説してきました。具体的には、
- 天照大御神や恵比寿様のような留守神さまは出雲大社に行かない
- 旧暦の10月には出雲大社では神在祭が行われる
- 参拝の作法は伊勢神宮は二拝二拍手一拝、出雲大社は二拝四拍手一拝
ということでした。神様がいない月で神無月。例え神様がいなくても、留守神さまがいます。あまり気にせずに、自分自身を見つめなおし、感謝することが何より大切です。涼しい秋は、神社の参拝には過ごしやすい季節。
ぜひこの記事を参考にして、神社巡りに出かけてみてはどうでしょうか?
雑学のあしあとでは、誰かに話したくなる雑学を多数執筆しています。その他の記事もぜひ読んでみてください。