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ジビエとは何の肉? ~えっ、本場フランスではこんな動物まで食べてるの?~

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皆さん「ジビエ」って何のことを表すかご存知ですか?ジビエ料理ってわかりますか?

ジビエとはフランス語です。フランス語のジビエ(gibier)を英語に直すとgameと言う意味もありますが今回は「狩猟動物」を表す「quarry」についての話です。狩猟によって食用として捕獲された野生の鳥や動物の肉のことをフランス語でジビエといいます。

フランスなどでは昔から貴族を中心とした伝統的な料理としてジビエ料理が発展してきました。フランスの貴族たちが自分の領地の中で捕まえられた野鳥や獣などを調理したものがジビエ料理です。

日本に「ジビエ」という言葉が入ってきたのは1990年代ですが、日本にも古くから野生動物や鳥を食べる習慣がありました。今回はそんなフランスで食べられるジビエ肉や日本でのジビエについてご紹介します。

本場フランスで食べられるジビエの肉の種類

フランスでは「えぇ~こんな動物まで食べちゃうの??」というような可愛そうになるような動物もジビエとして食べられています。今回は一部ですがご紹介いたします。

マガモ(colvert、コルヴェール)

「コルヴェール」とは「緑色の首」という意味です。日本語でマガモのことを昔は「青頸(あおくび)」と言っていたのと同じですよね。(「スクランブル交差点のスクランブルってどういう意味?」の雑学記事にも書きましたが)昔、日本では緑色のことを「青」と呼んでいましたから、まさに同じ呼び名だったことがわかります。メスは脂身がオスより分厚く、風味も強いです。

ライチョウ(grouse、グルーズ)

日本では天然記念物になっているライチョウもフランスでは食べちゃいます。数は少なくなってきていますが、フランスではよく見かけるジビエ肉にひとつです。赤身で柔らかいですが、独特な香りがします。

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ライチョウまで食べちゃなんて、文化の違いを感じますよね。

キジ(faisan、フェザン)

やはりキジもメスのほうがオスよりも肉質が柔らかいです。日本でも食べられています。近年ときどき「熟成肉」という言葉を耳にすることがあると思いますが、「熟成させて肉の旨味や香りを引き出させる」ことを表す「フェザンタージュ」という言葉の語源にもなっています。

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「キジ」と聞くと桃太郎とのお供としてついていった「キジ」を思い出すのは私だけでしょうか?

ヤマウズラ(perdreau、ペルドロー)

ヤマウズラのペルドローには足が赤い「ルージュ」と灰色の「グリ」の2種類があります。どちらも基本的に白身ですが、ペルドローグリの方が旨みやコクがあり、ルージュはたんぱくな肉質です。

野ウサギ(lièvre、リエーヴル)

野生独特の香りがする肉です。火を入れるほどパサつくので調理人の腕が試されます。代表的な調理法としては「ロワイヤル」が有名です。なんと、ウサギを1匹丸ごと煮ちゃうのです。また、野生感を強調させるようにソースのつなぎウサギの血液を混ぜることもあります。

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丸ごとのウサギって、インドに伝わる「月のウサギ」の話を思い出しますよね。血を混ぜたソース・・・呪われそうです。

クマ(ours、ウルス)

中華料理でも「クマの手」を食べますが、フランスでもジビエとして食べられます。脂身が多く、赤身は赤身で筋が多いです。

シカ(chevreuil、シュヴルイユ)

赤みが多い淡白で癖が少ない肉です。シカをとる時は一発でしとめないと、暴れて赤身に血が入ってきてしまいます。ハンターの腕が試されます。

いくつかメジャーなジビエ肉をお紹介しましたが、更に日本人にはゾッとするような鳥もフランスではジビエとして食べられています。それは「カラス」です。生臭さもなく歯ごたえもいいのですが、あまり食べたくないですよね。

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カラスは高級フレンチの店で出てきても「無理っ!」

日本とジビエの肉

フランスではお店にはよくジビエ肉が売っていますが、日本では全くと言っていいほど販売されてませんよね。あったとしても田舎の「直売所」くらいだと思います。ジビエを食べる人は直売所で購入するか、知り合いに猟師がいるかのどちらかでしょう。

日本でジビエが食べられていたのは仏教が日本に広まる以前と明治時代以降となります。仏教では「守らなければならない5つのシーラ(戒)」がありその1つに不殺生戒(ふせっしょうかい・故意に生き物を殺してはいけない)があります。だから仏教の信仰が深かった時代には野生動物を食べられませんでした。

そんな中でも江戸時代、隠れてお店で出されていたのがイノシシ、ウマ、シカの肉です。

これらの肉はそれぞれ隠語で呼ばれていました。聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。イノシシの肉は「牡丹(ぼたん)」や「山鯨(やまくじら)」ウマの肉を「桜(さくら)」シカの肉を「紅葉(もみじ)」と呼んで食べていました。

また、ニワトリの肉のことは今でも「柏(かしわ)」と言いますよね。これもかつての隠語の名残です。

さらにウサギの数え方、動物なのに「1匹、2匹・・・」ではなくてウサギだけ「1羽、2羽・・・」と数えますよね。これも僧侶がウサギは「とぶ(飛ぶ?跳ぶ?)」からと言って「獣ではない」として「1羽、2羽・・・」と呼び、食べていたとか・・。

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結局なんだかんだ言って動物の肉を食べていたんだね。 ウサギの「飛ぶ」と「跳ぶ」はこじつけだよね。

日本におけるジビエ肉の流通

現在、日本で捕まえてもいい鳥や獣は全部で48種類あります。そのうち28種類が鳥と、20種類の獣です。上にも一部書きましたが現在日本でジビエの肉はスーパーなどではほとんど売っていません。国産のジビエは地元の漁師と繋がりのある直売所や精肉店くらいでしか手に入りません。

しかし、野生のイノシシやシカなどは毎年かなりの量を捕獲してはいます。この捕獲されるイノシシやシカというのは農作物から守るために獲られます。しかし狩猟により捕まえられたこれらの生き物たちの多くがジビエ肉として私達が食べるのではなく、山中に埋設されているのが現状のようです。

この現状に対して国は「鳥獣被害防止特措法」の中で「国等は、ジビエとしての加工・流通・販売における衛生管理の高度化の促進に努めなければならない。」と記しています。

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興味本位で1回だけ食べるのではなく、継続して食べられるように、一つの日本の産業、文化としてジビエのお肉が広まっていくといいですよね。

食べるときはよく加熱して

2011年にお店で食べたユッケの中の病原性大腸菌が原因で4人が死亡したというニュースを覚えている方も多いと思います。牛肉のような食肉処理場(屠畜場・とちくじょう)で処理した肉ですら、肉の扱い方を誤ると大変なことになります。 

ジビエ肉はこういった屠畜場などで処理されることはなく、病原性を持つ微生物や寄生虫などの検査も行われません。「少しあぶっただけの赤みの残ったレアなお肉が美味しい」のはわかりますが、命のためです。よく火で加熱して食べましょう

最後に

今回「たぬき」の話が出てきませんでしたが、昔から色んな話で「たぬき汁」が出てくるのをご存知ですか?例えば「かちかち山」。「悪さをするたぬきをたぬき汁にしよう!」というところから始まります。また小学校1年生の国語の時間に「たぬきの糸車」という話を勉強した方もいらっしゃると思います。これにも「たぬき汁」が話に出てきます。

さらには「まりつき」の歌で「あんたがたどこさ」。

♪「・・・船場山には狸がおってさ
 それを猟師が鉄砲で撃ってさ
 煮てさ 焼いてさ 食ってさ
 それを木の葉でちょいと隠(かぶ)せ」

昔からたぬきを食べられていたのか、それともごちそうだったのかもしれませんね。もしかすると「たぬきそば」は本物のたぬきが手に入らないときに贅沢感を味わうためのものだったかも・・・。

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