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発酵バター、有塩バター、無塩バターの違い!どんなものに最適?使い分けましょう

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みなさんバターはお好きですか?普段どんな風に使われるのでしょう?キノコや野菜などの炒め物や魚などのバター焼き?お菓子、ケーキ―やパンなどを作る時に?蒸(ふ)かしたジャガイモにのせてジャガバターなどもおいしいですよね。

(「普段トーストに塗っているのはバターだっけ?マーガリンだっけ??」という方もいるのではないでしょうか?そういう方は「ほとさん」が以前書かれた「バターとマーガリンの違い」もご覧ください。)

ところで、あなたが普段使っているバターはどんなバターでしょう?パンやお菓子を作る方は「レシピに『無塩バター』と書いてあるから無塩バター」を使っていると思います。バターには無塩バター・有塩バターの他に「発酵バター」があります。今回はこれらの作られ方の違いや特長などをご紹介します

発酵バター・ヨーロッパの国々で主流です

発酵バターの起源

バターは牛乳から作られることはご存知かと思います。牛乳の中の脂肪分が固まったものがバターです

昔は生乳からクリーム(乳脂肪分)を分離させるために牛乳を木の桶や甕(かめ)などに入れ、静置していました。静置することで、脂肪分が上部に分離してくるのです。この静置している間に、知らないうちに乳酸発酵が進んでクリームが固まりました。このようにして(発酵)バターができたのではないかと考えられています。

現在の発酵バターの作られ方

それでは現在はどのように発酵バターは作られているのでしょう?実は先ほど紹介した方法とあまり変わっていません。

①クリームを分離する

はじめに生乳からクリームを作ります。クリームとは乳脂肪分のことです。生乳を「クリーム」とクリームを取り除いた「脱脂乳」に分けます。

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「脱脂乳」という言葉を聞くと戦後の学校給食で「脱脂粉乳」を飲んでいたという苦い経験を思いだす方もいらっしゃるかもしれませんね。
また、普段「低脂肪乳」を飲んでいる方もいらっしゃるかと思います。この低脂肪乳を作る際に取り出される脂肪分は生クリームやバターづくりに使われます。

②乳酸発酵

①で分離されたクリームに乳酸菌を加えます。そして半日以上かけて発酵させます

③チャーニング

②で発酵されたクリームを攪拌します。この攪拌する工程をチャーニングと言います。チャーニングすると米粒~大豆くらいの大きさのバターの粒ができるのです。

④ワーキング(練圧)

そしてチャーニングでできた小さなバターの粒を練り合わせ、発酵バターができあがります。

発酵バターの特徴

発酵バターは乳酸菌により発酵が行われます。この発酵から生まれるバター本来のコクや、乳酸菌の働きから得られる芳醇な香りがするのが特徴です。

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チーズもヨーロッパではほとんどがナチュラルチーズですが、それぞれのチーズ特有の味や香りを楽しむことができますよね。発酵バターも乳酸菌の種類によりいろんな風味や味があります。

日本で主につくられているバター・無発酵バター

ヨーロッパでは昔から作られてきた発酵バターが主流でしたが、日本では発酵させない「無発酵バター(甘性バターともいいます)」がメジャーです。

基本的には発酵バターの作られ方と同じです。

日本で主に作られる無発酵バターの作られ方は発酵バターとほとんど同じです。違うのは発酵バターでは②で乳酸発酵をさせました。そのかわりに無発酵バターではエージングという工程が入ります。

②エージング

クリームを4℃から5℃くらいで8時間から10時間冷蔵。保持させます。こうすることで脂肪が結晶化していきます。

有塩バター

また、日本でメジャーな有塩バターにはチャーニングの後に塩を加える「加塩工程」が加わります。

無発酵バターの特徴

発酵バターには発酵の際に生まれる芳醇な香りやコクが特徴でしたが、無発酵バターはクセが少なく、日本人に受け入れやすいバターとなっています。

ちょっとブレイク~ホモゲナイズとノンホモ牛乳

上で「木箱や甕で牛乳を静置すると乳脂肪分が上部に分離する」とお伝えしました。でも皆さんが「普段、口にする牛乳でもやってみよう!」と試みても残念ながら乳脂肪分が分離してくることはありません。

実は現在日本で販売されている牛乳のほとんどは乳脂肪分同士がくっつかないように「ホモゲナイズ」ということが行われているからです。ホモゲナイズをして脂肪の塊(脂肪球)の大きさを小さくしています(ホモゲナイズする前の脂肪球の大きさは3~7マイクロメートルなのに対してホモゲナイズをすると1マイクロメートル以下になります)。

またホモゲナイズしていない牛乳のことを「ノンホモ牛乳」といいます。

なぜホモゲナイズをして販売されているかというと、
・冷蔵庫の中で保管中に牛乳の中のたんぱく質が分離しないように
・ホモゲナイズすることによりタンパク質の吸収が良くなり、お腹を壊しにくくなる
といった効果があります。

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ノンホモ牛乳はインターネット通販で購入することができます。
でも乳製品でお腹を壊しやすい人が飲むのはお勧めしません。

ちょっとブレイク2~自作バターを作ろう!

本来ならノンホモ牛乳からクリームを分離して・・・と生乳からバターを作りたいところなのですが、ノンホモ牛乳が手に入らない人に朗報です。

市販の生クリームで作れます。

生クリームといってもホイップしていない液状のクリームです。

蓋付の容器に生クリームを入れてチャーニング(攪拌)します(おもいっきり容器を振ります)。こうすることでバターができます(脂肪分が固まります)。

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ぜひ一度試してみてください。

3種類のバターで作ったクッキーやパン

ここまで発酵バター、無発酵バター(有塩・無塩)の作られ方や特長についてご紹介しました。それでは、これらのバターでクッキーやパンを作ったらどんな違いが出てくるのでしょう?

見た目

見た目ではほとんど違いが見られません。どれも同じような焼き具合です。

食感

パンを焼いたとき、有塩バターは少しふっくら感がないような感じがします。これには理由があります。食塩には小麦粉の中に含まれる粘りの元「グルテン」の働きを強くする性質があるからです。

味や香り

ヨーロッパなどで主流の発酵バターはバターのコクや芳醇な香りがクッキーやパンにも残り、高級感が味わえます

無塩バターはシンプルな味わいですが、有塩バターは少し塩分が強く感じられます。クッキーやパンのレシピを見ると「食塩」も加えるように書いてあると思います。その食塩を加えなかったとしても有塩バターの場合は塩味が残ります。

最後に・・グラスフェッドバター

今回は発酵バター、食塩未使用の無塩バター、有塩バターについてご紹介しました。バター炒めなどの料理に使うのであれば有塩バターお菓子やパンを作るのであれば無塩バターを使いましょう。また、香りなど、高級感を持たせたい場合は発酵バターを使うといいと思います。

みなさんはバターコーヒーという言葉を聞いたことはありますか?「バターにコーヒー?考えただけで気持ち悪い!」とお思いになる方もいらっしゃると思います。「ダイエットに効く」などと一時期話題になりました。

実はこのバターコーヒーに使われるのも発酵バターです。発酵バターの中でも「グラスフェッドバター」というものが使われます。英語で「grass-fed-butter」と書き、牧草で育てた牛。その牛の乳から作られたバターを意味します。

バターの風味や芳醇な香りがあり、コーヒーに入れてもくどくは感じません。国産のものは普通の無発酵バターの価格の10倍前後しますが、ぜひ一度試してみてください。

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