これから寒い時期に入ると鍋料理が恋しくなります。毎年11月7日は「鍋の日」。鍋の代表メニューとして「ちゃんこ鍋」や「寄せ鍋」が人気です。皆さんは「ちゃんこ鍋」と「寄せ鍋」の違いをご存じでしょうか?2つの違いを説明すると、
- ちゃんこ鍋は、鶏以外のだし汁が使えない
- 寄せ鍋は、すべての食材をだし汁に使える
の2点です。
「ちゃんこ」とは力士が食べるすべての料理のこと。4本足の動物は「手が付く」=「土俵に手が付く」という意味に繋がるので、ちゃんこ鍋には鶏がだし汁として使われます。
ちゃんこ鍋のだし汁に4本足の動物が使えませんが、具材としては使用可能です。この記事では、ちゃんこ鍋と寄せ鍋の違いについて解説。相撲界における独特のルール「ちゃんこ」を食べる順番、鍋以外のメニューについても紹介します。
ちゃんこ鍋と寄せ鍋の違い

ちゃんこ鍋と寄せ鍋の違いは、だし汁の具材です。ちゃんこ鍋のだし汁は鶏がベースに対して、寄せ鍋は豚や牛などもだし汁に含まれます。
ちゃんこ鍋
ちゃんこ鍋のだし汁は鶏。理由は「鶏は手が付かない」というゲン担ぎがあります。土俵では手を付いたら負けなので、4本足の動物のだし汁は使われません。だし汁では使えませんが、具材として使用するのは大丈夫なので、部屋ごとにオリジナルちゃんこ鍋があります。
寄せ鍋とは
寄せ鍋はだし汁に何を使っても大丈夫なので、だし汁のレシピが豊富。豚をだし汁のベースにした鍋など、変わり種が多いのが特徴です。
最近では、豆乳鍋やチーズ鍋と言った「鍋のもと」が販売されております。簡単に鍋料理を楽しみたい人にはおススメです。
相撲部屋における「ちゃんこ鍋」の食べる順番

相撲部屋では食事の順番が決まっております。順番は、
- 師匠・親方
- 上位番付力士・講演会(招いたお客さま)
- 幕下以下・新人力士
の順番です。少人数の相撲部屋では一緒に食べるケースもあります。
食べる順番が決まっている理由は、力士の世界は勝負の世界。結果がすべてなので、幕下以下や新人力士たちは早く上位番付になろうと意欲を出させることが目的です。
相撲部屋のルール
大部屋では、師匠・親方から食べ始めて、次に上位番付力士と招いたお客さま、最後に幕下以下の力士と新人力士の順番です。師匠や上位番付力士が食べている間、幕下以下の力士は料理を運んだり、片づけたりします。
番付力士が結果を残せず、幕下以下に落ちるのは耐え難い屈辱。そうならないように日々、厳しい稽古に励みます。
少人数部屋の場合
食事のルールは決まっていますが、少人数の部屋だと全員一緒に食べる部屋も。一緒に食べる部屋でも、最初に箸をつけるのは師匠や親方なのは変わりません。
ちゃんこ番
ちゃんこ鍋を作る力士で、幕下以下力士はまとめ役の「ちゃんこ長」。新人力士が「ちゃんこ番」になり、数人のグループで1日2回の「ちゃんこ」を作ります。ちゃんこ番の日は稽古を休んで良い決まりが昔からあります。
稽古を休むことが認められているとはいえ 、1日2回分の食材買い出しから調理、後片付けの全てがちゃんこ番の役目です。ちゃんこ番の力士たちは、大量の食材の買い出しや調理、片づけなどで1日を過ごします。
ちゃんこの鍋以外のメニュー

力士が食べるものが「ちゃんこ」です。ちゃんことは鍋だけでなく、カレーやアイスも力士が食べれば「ちゃんこ」になります。
チーズちゃんこ鍋
近年、外国人力士が増えたことで開発された「チーズちゃんこ鍋」。それ以外にも「トマトちゃんこ鍋」などがあります。近年では「チーズちゃんこ」や「トマトちゃんこ」のだし汁も発売されています。
カレー
カレーも力士が食べれば「ちゃんこ」。カレーもベースとなる味は鶏です。人気メニューのカレーですが、何を具材にするかは部屋ごとに違うのが特徴です。
カレーも身体作りに必要な栄養バランスの具材が使用されております。何を具材にするかは、部屋やちゃんこ番によって違います。
アイス
アイスは後援会など自分たちを応援してくれる人からの差し入れが中心です。アイスを主食にすることはありませんが、力士が食べればアイスも「ちゃんこ」になります。
力士は普段の身体作りが基本。そのため力士は食事に注意しており、体脂肪が付きやすい食材は避けます。実際に力士の体脂肪率は非常に低く、中継などで見る力士の姿は大半が筋肉の塊です。
私も夏場所で名古屋に力士が集まる場面を見ましたが、力士は背が高くて平均180~190㎝。その身体のほとんどが筋肉なので、ケガが多いのも納得です。
まとめ
ちゃんこ鍋と寄せ鍋の違いは、だし汁の違い。ちゃんこを食べる力士にとって手がつく=負ける意味なので、手がつかない鶏はゲン担ぎに最適です。ゲン担ぎ以外にも身体作りにヘルシーな鶏は、相撲に欠かせない食材。普段食べる「ちゃんこ鍋」は身体作りを意識したメニューだといえます。
これから寒い時期を迎えますが、身体作りも考えた「ちゃんこ鍋」などはいかがでしょうか?