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ヤングケアラーを周囲はどう支援する?~気づきが大切~

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‶ヤングケアラーとは~若くして介護を担う子どもたち~〟のコラムでは、ヤングケアラーが行っているケアの内容やその思い、ヤングケアラー達に伝えたいことを掲載しました。

ここでは、彼らの周りの大人がどうやったら彼らを支援することができるのか、また使える社会資源や人材などについてまとめました。

本来学校生活を楽しむべき子どもが、介護やきょうだいの世話で学校にも行けなくなってしまうというのは本当に悲しいことです。周りの大人の‶気づき〟によってヤングケアラー達は救われるかもしれないのです。

ちょっとした表情の変化に気づくこと、またもしヤングケアラーだとわかったら適切な機関に彼らをつなぐことが大切になってきます。若者が‶自分の〟人生を自分らしく歩んでいくには、どういった支援が必要なのでしょうか?

■ヤングケアラーへの支援~学校ができること~

★周囲ができること★
まず大切なのが周りの「気づき」

担任の先生なら「何か悩んでいそうではないか」「疲れている様子はないか」など生徒の様子を常にチェックしてほしいです。学校は子どもが一日の大半の時間を使うところですから、先生は子どもたちのちょっとした変化に気づけると思います。

ヤングケアラーは「周りに知られたくない」という思いから元気そうに振舞っているかもしれませんが、どこかでふと暗い表情が見えたり、ケアからの疲れや寝不足からボーッとしている事があるかもしれません

すべてがヤングケアラーとは限りませんが、そういった生徒を見つけたら「最近辛いことはないか?」「お母さん(家族)とは仲良くやれているのか?」などと一声かけてあげてください。

何度かそういうやりとりをしているうちに、ぽろっと「実は悩みがあって」などと悩みを話しだすかもしれません。それをきっかけに、少しずつどんなことに困っているのか、彼らが家庭でどんな役割を担っているのかを聞き出します。

支援が必要だと感じたら週に1度は個別面談の機会を設けたり、家庭訪問を行うなどすることによって、家庭の状況も把握していけるでしょう。

少しずつでも家庭の状況が分かったら、学校内(学年内)の教師、またスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが集まって会議を開き、その子に対する支援策を練ることによって、適切な機関へつなぐことも可能になると思います。

例えば病気がちな親の代わりに買い物に行っているのだとしたら、生活協同組合を使ったり、介護が必要な人が家の中にいるのなら、市役所の高齢福祉課(地域によって呼び名は違います)などにつなぎ、介護認定を受けさせる、などです。

生徒の「大丈夫です」という言葉に惑わされないでください。

彼らは「助けを求めたくても求められない」のです。「土足で自分の家庭に入り込んでほしくない」「周りに自分の状況を知られたくない」などの思いから、つい「大丈夫」と言ってしまう傾向にあります。

しかし、彼らは背景にとてつもなく大きな負担を抱えているのです

■相談先として~社会資源を活用しよう~

★公的な資源★
例えば市役所の障害福祉課や高齢福祉課、社会福祉協議会、病院などの社会資源を有効に使うことによって、ヤングケアラーの負担を軽減することができます。

前述のように介護保険を使うために介護認定を受けさせたり、精神に病のある親がいるのだったら精神科訪問看護を使って、服薬の管理をしてもらったり、親側の精神的なケアをしてもらうだけでも、ヤングケアラーにかかる負担は減ります。

また、小学校低学年のきょうだいがいるなら放課後児童クラブを使うこともできます。経済的な面では、福祉事務所の生活保護担当や認定NPO法人などが生活保護の申請のサポートをすることによって、金銭的な問題に苦しめられている家庭を救えます。

このような支援を様々な機関が連携して行っていくことによって、ヤングケアラーを救う手立てはいくらでもあるのです。地域によってサポートの差はあるかもしれませんが、「全くできない」などのようなことはありません。

周りの大人が、ヤングケアラーの家庭の事情を把握し、出来るサポートを提示することによって、彼らは安心感を覚えると思います。

「もう自分一人で頑張る必要はないんだ」と。

その為にも、学校の教師や養護教諭、民生委員などは地域の実情、ヤングケアラーのいる家庭の事情をしっかり把握していってほしいと思います。

★非公的な支援も大切★

最近ヤングケアラーの問題が顕著になり始めてから、NPO法人など‶非公的な社会資源〟も徐々に増えてきました。ヤングケアラーの自助グループもあります。精神疾患をもつ親をケアする若者、年老いた祖父母をケアする若者、みんなそれぞれ事情は違います。

しかし、どのヤングケアラーも少なからずこころの痛みや悩み、葛藤を抱えていることは確かなのです。そこで、自助グループなどでヤングケアラー同士が情報交換をしたり、何気ない話をすることによって、彼らにとって「自分は一人ではない」という安心感につなげます。そして、同じような悩みを持った仲間と話をすることが、彼らのこころのケアにもなります。

ですから、自助グループの存在はヤングケアラーにとって大切な存在になるのです。

■アウトリーチ~待つのではなく出向いて状況を把握する~

★支援が必要な人たちを発見する★
ヤングケアラー達は、年齢から言っても福祉の知識を多く持ち合わせているとは思えません。そこで「アウトリーチ」も効果的だと思われます。

医療や福祉につながらない人達に対してこちらから歩み寄ることによって、問題に対して支援を行っていくのです。

‶支援が必要ならこちらに来るだろう〟と待っているのではなく‶来られないならこちらから歩み寄ろう〟という姿勢で、様々な専門職が問題を抱えている人たちのもとへ出向いていくのです。

NPO法人や相談機関も、こういったアウトリーチを行っています。ヤングケアラーにケアされている家族への支援ももちろん行いますが、ヤングケアラーの実情を明らかにし、必要な支援を入れることによって彼らの人生を豊かなものにするサポートも行っていくのです。

前述しましたが、若者はどういった支援がどこで受けられるのか、知らない場合が多い傾向です。そういった理由から「支援をしてほしい」と申し出ることは多くありません。

ですから、アウトリーチが必要なのです。最初は「何も知らないくせに」と支援者に拒絶感を示すかもしれません。しかし、少しずつ関わりを増やしていくことによって信頼関係を築き、どんなニーズがあるか把握し、必要なサービスにつなげることを支援します。

自らSOSを出せない人達に対して、支援の入口を積極的に作る、それがアウトリーチです

職員はヤングケアラーのケアをしっかり行うことで、若者が‶生きやすい〟環境を整えていきます。前述のように、ケアだけに囚われた人生ではなくヤングケアラーが「自分らしい」人生を送れるようサポートしていくのです。

■ヤングケアラーまとめ

このコラムを読んで「自分はヤングケアラーだ」と気づいたあなた、もしくは「うちは子どもにケアを押し付けているかもしれない」と思った家族の方、第三者からの支援を受けることを拒まないでください。

若者には本人の人生があります。

支援を受けることは恥ずかしいことでも何でもありません。家庭の外からの支援を受けることで少しでもケアの負担が減れば、ヤングケアラーが助かるだけではなく、家庭の本来の機能が回復し、家族みんなにとって過ごしやすい家になります。

外の空気を入れることが必要なのです。

周りの大人は若者に負担をかけすぎていないか、今一度ご自分の家庭環境を見直してみて下さい。そして、必要なら第三者の支援をきちんと受けてください。

ヤングケアラーと呼ばれる人たちが少しでも自分らしい人生を送り、また家庭も居心地の良い場所となる事を祈ります。

「ヤングケアラーとは~若くして介護を担う子どもたち~」はコチラから⇩

https://neko-ashiato.com/2021/08/12/415/

著者 もち猫
福祉系の大学卒業と同時に社会福祉士、精神保健福祉士資格取得。統合失調症。自分の体験談なども織り交ぜながら、主に福祉系のコラムの執筆を担当。

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もち猫
福祉系の大学卒業と同時に社会福祉士、精神保健福祉士資格取得。統合失調症。自分の体験談なども織り交ぜながら、主に福祉系のコラムの執筆を担当。